ユニーク&フレッシュ! 農家直営のフルーツスタンド

夏は、どうしても冷たい物が飲みたくなってしまうもの。そんな時、フルーツを使ったひんやりスイーツを口にすると、元気が湧いてくる気がしませんか? 実はここ最近、農家さん直営のフルーツスタンドがあちこちにオープンしているんです。フレッシュな美味しさはもちろん、減農薬栽培やフードロスに配慮したメニューと、リーズナブルな価格は直営店ならでは。農家直営のフルーツスタンドで、晩夏を乗り切るエネルギーをチャージしてみませんか?
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、熊本県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。
・ぶちスタンド
・そのだ農園直売所
・高藤農園
ありそうでなかった! 梨を使った話題のスムージー
ぶちスタンド

県道208号線沿いに佇む、オシャレなキッチンバス。その存在を気になっていた方も多いのではないでしょうか?ここは、『大渕梨園』の4代目・大渕峰昇(おおぶちたかのり)さんが「荒尾の名物である梨の美味しさを広めたい」と、2021年4月にオープンした「ぶちスタンド」。自家農園で育てたフレッシュな梨を使ったスムージーが話題です。


ブルーベリーレアチーズは、ヨーグルトをベースに仕上げたスムージー。甘すぎず、飲みやすいのに満足感のある味わいは、店主の大渕さんも気に入っているとか。そのほかにも、マンゴーや桃をはじめとする季節のフルーツを使ったスムージーも定期的にお目見え。現在は、葡萄やシャインマスカットを使ったスムージーを試作中だとか。
気候変動の影響で廃棄が激増 荒尾名物・ジャンボ梨を守りたい

忙しい農園の仕事と並行してカフェ事業をはじめたきっかけは、年々増加する“廃棄梨”の存在でした。「気候変動の影響で商品化できない梨が収量全体の3割を占めるようになってきたんです。傷んだ部分を取り除けば、美味しさは変わらないにも関わらず、大量の梨が捨てられてしまう光景を見たときに、とてもショックを受けてしまって。スムージーを思い立ったのは、そんな梨たちをなんとか救いたいと思ったからです。一方で、梨は加工に向かない素材。開発は試行錯誤の連続でした」と当時を振り返る大渕さん。
スムージーに使用する梨は、約3haの広さを誇る自社農園で大切に育てた「秀麗」「新高」「秋月」「阪三吉」に加え、現在は知り合いの梨農家にも声をかけ、地域の廃棄梨の活用にも挑んでいるといいます。「梨は、小さい頃からずっとそばにあったもの。僕は、梨に対して育ててもらったような感覚すらあります。だからこそ、困っている梨の存在を無視できないんです」。

当初は、キッチンバスではなく実店舗を構える構想を膨らませていたという大渕さん。そこへコロナの波が押し寄せ、今のキッチンバスで提供するスタイルに辿り着いたとか。「目的は、あくまでも廃棄梨を生かすことだったので、なかなか思うように物事が進まなくても、諦めるという考えは浮かびませんでした」。
そんな大渕さんの活動に共感した沖縄在住の友人が、この度沖縄でキッチンバス「ぶちスタンド」の2号店をスタート。「沖縄には梨がないので、スムージーを通じて梨のおいしさを知ってもらえたらうれしいですね。熊本の方には、沖縄ならではの味をお届けしたいと思っています」と目を細める大渕さん。さらに、2023年の春にはいよいよ念願の実店舗もオープン予定だとか。ジャンボ梨と地域を守る大渕さんの活動から今後も目が離せません。
スポット名 | ぶちスタンド |
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電話番号 | 080−2748−0937 |
所在地 | 荒尾市野原706 |
営業時間 | 月曜~金曜/13:00~19:00、土日、祝日/11:00~19:00 |
定休日 | 不定 |
有機肥料で育てたいちごで 仕上げるデザートドリンク
そのだ農園直売所

菊池市隈府の「ドラッグストアコスモス」の前に建つのは、ひときわ目を引くいちご柄の建物。ここは、2021年12月に移転オープンした「そのだ農園」の直売所です。養蜂業とパンの製造業に携わっていた園田さんご夫妻が育てた有機栽培のいちごや、自家製のいちごを使ったメニューが人気のフルーツスタンドです。

子どもの誕生を機に「子どもたちに安心して食べさせられるいちごを育てたい」と一念発起。2019年に新規就農をして、今年で3年目を迎える園田さんご夫妻。ご実家が農家だったとはいえ、おふたりともほぼ知識ゼロの状態からはじめた農業。当初は試行錯誤の連続だったと言いますが、今では有機栽培のいちごを待つ人々の元へ、いちごを届けられることが何よりのやりがいになっているそうです。「就農と同時に山鹿から菊池にやってきました。右も左もわからない就農当初から、折に触れて菊池の人々の優しさを感じてきました。そんな中で、農業を営むだけでなく、もっと地域の人々と繋がれる場があったらいいなと思い始めていた時に、縁あってこの場所に出会い、直売所をオープンすることになりました」と笑顔を見せる店主の園田さん。

人気は、自家農園で育てたいちごを使ったラインナップ。削りいちごにソフトクリームを乗せた「苺スペシャルDX(600円)」は、有機栽培の削りいちごの上に、さっぱりとした後味のソフトクリームを載せたオリジナルメニューです。ソフトクリームが溶けないうちに、削りいちごと一緒に食べるもよし。ソフトクリームをゆっくりと溶かしながらドリンク感覚で味わうもよし。味の変化を楽しめるイチオシの一品です。

イチゴとミルクで仕上げた「イチゴスムージーホイップ(400円)」は、老若男女問わず美味しく食せる、優しい味わいが特徴。イチゴの果肉がたっぷり入った、甘すぎない仕上がりがうれしい一品です。
夏場はドリンクメニューを中心としたラインナップですが、冬から春にかけて訪れるいちごの最盛期には、直売所の店頭には「紅ほっぺ」や「ゆうべに」、珍しい白いイチゴ「天使のいちご」も並びます。一粒一粒、丁寧に育てられたいちごを使ったラインナップ、ぜひ味わってみてくださいね。
スポット名 | そのだ農園直売所 |
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電話番号 | 090−6774−2661 |
所在地 | 菊池市隈府868 |
営業時間 | 12:00~17:00 |
定休日 | 不定休 |
リッチなかき氷からトマト飴まで オリジナルメニューが続々登場!
高藤農園

雄大な自然の恵みを感じる阿蘇の地で農業を営む「高藤農園」は、夏場はトマトを、冬場はいちごをメインに育てる農園です。「地元の人に愛される場を作りたい」と、2022年4月に国道58線沿いに直売所をオープンしました。オシャレな雰囲気の店内には、自家農園で採れたミニトマトやいちごを使ったスイーツが並んでいます。

夏場は、フレッシュなミニトマトがメイン。甘味と酸味のバランスが食べやすいと人気の「アイコ」や、加熱調理に最適な「シシリアンルージュ」、そしてフルーツのように甘く、果肉感たっぷりの「チェリートマト」が並びます。特に「チェリートマト」は、県内の取扱店もごくわずかなので、直売所にわざわざ足を運んでも手に入れたい逸品です。いずれも完熟の状態で収穫するというトマトは、キラキラと光る宝石のように美しい佇まいが印象的です。


ひときわ目を引くのは、「アイコ」を使った自家製の「トマト飴(100円)」。新感覚のスイーツ?と、かじってみると「アイコ」ならではの程よい酸味と甘みが、カリッとしたべっこう飴の食感と甘さが想像以上に合うんです‥!
「このトマト飴を目指して買いに来てくださるお客さまもいるんですよ」と笑顔を見せてくれたのは、スタッフの齋藤さんです。

齋藤さんは、7年間の公務員生活を経て、農業を志し、宮崎から阿蘇へ移住して2年目の新規就農者です。「自分が育てたものを誰かに食べてもらえることがうれしいです。仕事の成果を目で、耳で、肌で感じることができる農業を、一生の仕事にしたいですね」とその思いを口にします。農園の仕事の傍ら、店頭に立ちお客さんの「おいしい!」という声を聞くことで、日々の仕事にも一層やりがいを感じているそうです。

そんな齋藤さんのおすすめは、スタッフみんなで考案したというオリジナル「かき氷(各500円)」。小国ジャージー牛乳と練乳、抹茶で仕上げた「ASO」、カスタードプリンと手作りカラメルソースを使った「プリン」、自家農園の削りいちごとジャム、自家製ヨーグルトソースで食す「いちご」の3種をご用意。また、「いちごのソフトクリーム(400円)」は、冷凍いちごとバニラアイスをオーダーを受けてからブレンドするというこだわりっぷりです。「オーダーを受けてから作るので、少しお待たせするかもしれませんが、味は抜群ですよ」と齋藤さん。作り手の愛情がたっぷり、ひと手間かけたとっておきのおやつは、阿蘇ドライブの定番になりそうですね!
スポット情報(2022年8月19日現在)
スポット名 | 高藤農園 |
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電話番号 | 090−8767−7922 |
所在地 | 阿蘇市永草2569−1 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 水曜 |
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中城明日香
大分県生まれ、熊本市在住の編集者・ライター。
地域の出版社・編集プロダクションを経て、独立。
自然、暮らし、農業、教育、観光、ファッション、アートなど、“毎瞬”を楽しむ姿勢で幅広いジャンルの記事を手がける。仕事もプライベートも書くことが生業。