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パンフレット

旅のおすすめ記事最新トレンドから絶対外せない王道まで!熊本の楽しみ方をご紹介します

それぞれに個性が光る 愛すべき街のあんこ。

写真:外観と店主

昨日食べたはずなのに、気がつくと今日もあんこを目で追っている。国民的甘味であるあんこは、なぜ、こんなにも人を魅了してやまないのでしょうか。基本は、あずきとお砂糖のみ。極めてシンプルな材料にもかかわらず、それぞれに豊かな個性を放つあんこ。そんな奥深きあんこの世界に魅せられた筆者が、街で見かけた気になるあんこをピックアップ。その魅力を探ってきました!

※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、施設へお出かけの際は、熊本県や各自治体が発表する最新情報、要請などをご確認のうえ、手洗いやマスクの着用、人と人との距離の確保など基本的な感染防止対策(新しい旅のエチケット)を徹底していただくようお願いします。

・中村だんご店
・菓匠 たてやま
・omusubi.

創業は、推定113年以上。 知る人ぞ知る甘味の名店

中村だんご店

熊本市中央区坪井の路地に佇む名店『甘党の店 中村だんご店』。オレンジ色のひさしにたなびく暖簾、使い込まれた風合いのショーケースがレトロな雰囲気を醸しています。ここは、8時半のオープンから、常連客が途絶えることなく店先に訪れます。4代目を担う店主の中村隆(なかむらたかし)さん。「創業は、僕の曽祖母の代。明治の終わりからと聞いていますがはっきりとした年数はわからないんです。大正元年から数えても113年以上は経っているはずです」。創業年数を数えるより、お客様の声に応え続けること。街とともに歩んできたことが滲み出る老舗感に筆者は、すでにメロメロです‥。

写真:店内をのぞき込むお客さん
写真:だんご「あずま」

「中村だんご店」を訪れたならまず手に取って欲しいのは、これぞ団子の基本形!と言わんばかりのオーソドックスなルックスが印象的な「あずま」(90円)。翌日使い切れる分量を仕込むという自家製のこしあんは、みずみずしい口当たりとさっぱりとした後味が特長です。北海道産のあずきをじっくり炊いた後、水にさらして丁寧にアクを取るのがポイントだとか。アク取り作業を計3回行った後、ようやく砂糖を加えて練り上げるそうです。

写真:だんご「あずま」が並んでいる様子

自家製のこしあんを纏っただんごが串に刺さった姿がたまらなくキュート!だんごのベースとなるのは、うるち米100%の「ヒノヒカリ」。翌日に仕込んでおいたお米を毎朝挽いて作る米粉だんごは、柔らかくモチモチの食感が病みつきに。
こしあんにあずきの皮まで混ぜ込むようになったのは、隆さんご夫妻とともに今も現役でだんご作りを続ける先代の中村房子さんの代から。「あずきの皮の部分にポリフェノールが多く含まれているので捨てるのはもったいない、と皮の部分も丁寧にこして混ぜ込むようにしたそうです。味に深みとコクが出ますね」と中村さん。

写真:「あずま」「あみがさ」「おはぎ」

「あずま」と同様に、創業時から店の看板商品として店頭に並び続けているのが、たっぷりのこしあんを米粉だんごで包んだ「あみがさ」と、もち米とうるち米を独自の配合でブレンドしたご飯を粒あんが覆う「おはぎ」。あずき本来の風味を丸ごと味わいたいなら、粒あんがおすすめ。取材中、店頭に訪れるお客さんの中には「あみがさ」一択でまとめ買いしていく方もちらほら。常連さん達の思い切りのいいオーダーっぷりを羨望の眼差しで見つめてしまいました。
その日の天気や湿度を肌で感じながら、生地の水分量を調整しているという中村さん。「あんこもだんごもレシピはありませんが、どれも丁寧に時間をかけて作ることが大事ですね」と話す中村さんが作るだんごは、街の人にとって美味しい思い出の詰まった場所。故郷のような懐かしさとともに、この場所にあり続けています。

スポット情報(2022年6月10日現在)
スポット名 甘党の店 中村だんご店
所在地 熊本市中央区坪井3−6−2
TEL 096−344-7355
営業時間 8:30~17:00
定休日 不定休

川尻の和菓子文化を牽引する 懐の深き和菓子の匠

菓匠 たてやま

和菓子の名店が軒を連ねる川尻は、あんこ好きにとって誘惑の多い街です。そもそも、なぜ川尻には和菓子店が揃っているのでしょうか。その背景には、和菓子で町おこしを試みた「開懐世利 六菓匠(かわせりろっかしょう)」の存在がありました。
かつて港町として賑わっていた川尻の街が時代の流れとともに徐々に活気を失っていく中で、“和菓子で町おこしを!”と地域の和菓子屋6店舗が手を取り合ったそうです。平成2年に結成した六菓匠は、ライバルでありながらともに技術を学び合い、腕をみがき、切磋琢磨しては、川尻の町おこしに尽力してきました。平成26年に「サントリー地域文化賞」を受賞すると、“川尻”の名を全国に発信しました。

写真:店の外観
写真:花おぐら
写真:花おぐらの断面図

その中で尋ねたのは、その立役者とも言える六菓匠のリーダー的存在である「菓匠 たてやま」の立山學(たてやままなぶ)さんが仕立てるあんこです。和菓子職人の父の元に生まれた立山さんは、10代から和菓子の修行のために上京し、老舗和菓子店で腕を磨きます。数店舗の和菓子店で修行を経て、帰熊した立山さんが40年前に考案して以来、ずっとお店の看板商品として親しまれているのが「花おぐら」(130円)です。まるで氷の中にあずきを閉じ込めたかのような繊細な見た目で、完成まで実に8日間を要する逸品でもあります。

ひと口食べた瞬間に、透き通るような繊細な食感を奏でるのは、“錦玉(きんぎょく)”と呼ばれる寒天と砂糖だけで仕上げたもの。新雪の上を歩いているかのような美しい食感と、その中に浮かぶ大納言を使用した甘納豆の柔らかな口当たりが調和する芸術的な逸品です。
「一粒一粒を炊き上げる感覚で仕上げる」という甘納豆は、しっかりと形を留めていながらも、ふっくらと上品な味わいが持ち味。寒天と砂糖、大納言というこの上なくシンプルな材料で、ここまで豊かな味わいを表現する技術力の高さに脱帽です。

写真:錦玉(きんぎょく)

「花おぐらに使う甘納豆もそうですが、美味しさはひと足跳びには引き出せません。順に、順に、手を加えながら、素材を生かす味を追求しています」。そう語る立山さんが作るわらび餅もまた人気の一品。独自に開発した小豆の炊き方で、あっさりとしたきめ細やかに仕上げたこしあんをたっぷり包んだわらび餅は、口の中でするりと解ける魔法のような口当たり。わらび餅と調和しつつ、これまでのわらび餅の概念を覆すこしあんの威力は絶大です。

写真:店主

「和食の中に和菓子がある。和菓子はシンプルが基本です。素材に対して加えるのは、基本的には1種に止めて、しっかりと素材の味を引き出すことに集中します」。そう話す立山さんは、今も県内の学校で講師として教壇に立ち、和菓子の技術継承に努めています。また、県内外からもその技術を求めて訪ねてくる職人さんも多いのだとか。そこで出し惜しみすることなく、持てる技術のすべてを伝えていく懐の深さと圧倒的な技術力が、川尻に根付く和菓子を全国区へ引き上げる原動力になっていたのだと感じました。

スポット情報(2022年6月10日現在)
スポット名 菓匠 たてやま
所在地 熊本市南区川尻4−1−43
TEL 096−357−9356
営業時間 9:00~19:00
定休日 日曜

あんこフリークの欲望を満たす 人気ベーカリーのまあるい子。

omusubi.

最後にご紹介するのは、和菓子の町・川尻に生まれ、和菓子文化の中で育った店主・上村麻耶子さんが切り盛りするベーカリー『omusubi.』。2011年からパン作りを始めると、パン生地の可愛さにすっかり魅了されてしまったという上村さん。県内のパン屋で修行を積み、店舗を持たないパン屋として2014年から活動をスタートすると、瞬く間に人気ベーカリーに。イベントに出店すると、開始1時間で完売するなど注目を集めます。満を持して2018年にオープンした実店舗のイメージは、“小屋”。造作の家具や作家もののオブジェや上村さんのセンスが凝縮された空間です。

写真:店内のオブジェ

店内のショーケースを覗き込むと「レーズンマフィン」や「黒糖ロール」など、シンプルなラインナップとともに、まあるい形がなんとも可愛いらしいベーグルたちが並びます。「ベーグルは元々、柔らかいパンの発酵を待つ間に作り始めたものですが、今ではうちの看板商品ですね」と上村さん。柔らか系のパンと同じく、あくまでシンプルなラインナップで展開するベーグル。もっちりとした独特の食感も、美味しさを引き出す重要な要素のひとつです。

写真:店内のショーケース

そんなラインナップの中で見つけた「あんこクリームチーズ」(302円)は、クリームチーズと自家製のあんこがたっぷり入った人気の逸品です。「毎日、自分の手が行き届く量しか作らない」というポリシーを貫く上村さん。数量限定の「あんこクリームチーズ」は、クリームチーズの酸味とさっぱりとしたあんこの甘さが絶妙な塩梅。北海道産あずきときび砂糖、ほんの少しの塩で練り上げる自家製のあんこは「自分で炊くことに意味がある」と上村さんは言います。

写真:あんこクリームチーズ

「当たり前かもしれませんが、自分で炊いたあんこは、市販のあんことはまったく違う仕上がりになります。もっとみんながあんこを炊けばいいのに‥と思います(笑)」と上村さん。「パンは、元々食事の脇役だから、シンプルなものが基本だと思っています。あんこもパンも特別なことは何もしてないけど、“美味しくなあれ”と思いながら作ること。それがパンやパンを食べてくれる人への愛情かな、と思います」。

写真:あんこクリームチーズの断面図

普段、なかなか和菓子を食べる機会がないという方も“自家製あん”をキーワードに、あんこの世界の扉を叩いてみてください。その先には、驚くほど豊かなあんこの世界が広がっているはずですよ。

スポット情報(2022年6月10日現在)
スポット名 omusubi.
所在地 熊本市南区南高江2−11–203−6−2
TEL 096−344-7355
営業時間 11:00~16:00
定休日 水・木曜

※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、直接店舗に営業時間をご確認ください。

中城明日香

熊本県在住のフリー編集者・ライター。タウン誌や編集プロダクションを経て独立。現在はタウン誌の編集・執筆を中心に、暮らし全般からファッション、インタビュー、観光パンフレット、コラム執筆など幅広く活動中。モットーは“街と人を結ぶこと”。取材の現場で感じた空気感まで、余すことなくとらえる姿勢で取材に臨んでいます。

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