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パンフレット

旅のおすすめ記事最新トレンドから絶対外せない王道まで!熊本の楽しみ方をご紹介します

津奈木町、アートを巡る旅

熊本県南エリアに位置する津奈木町(つなぎまち)。海沿いの小さな町ですが、町の隅々にアートの気配が息づく「アートの町」として有名です。そんな津奈木町で、アート巡りに行ってきました。

  • つなぎ美術館
  • 達仏
  • 町内の彫刻&道路に描かれた作品巡り
  • 旧赤崎小学校

水俣・芦北の芸術文化の発信基地

つなぎ美術館

まず訪れたのが、津奈木町のアートの発信地「つなぎ美術館」。人口約4,500人規模の町には珍しい町営の美術館です。かつて町民の多くが水俣病の被害を受けたことから、アートで住民の癒やしと地域の再生を行うべく、「緑と彫刻のある町づくり」の取り組みが始まったのが1984年。その一環で、水俣・芦北地域における芸術文化活動の拠点として2001年にこちらの美術館が作られました。さらに、2008年から始まった住民参画型アートプロジェクト、2013年から始まった、アーティストに約4ヵ月間、津奈木町に滞在してもらい自由に作品を制作してもらう「アーティスト・イン・レジデンスつなぎ」などのプロジェクトの拠点にもなっています。ただ町の中にアートが配置されているだけではなく、町の活動や文化の奥底に深くアートが根付いていることに驚かされます。

場所は国道3号線沿い。つなぎ百貨堂や、「つなぎ温泉 四季彩」のすぐ近くです。
第2次海老原美術研究所の所長を務めた境野一之氏をはじめ、熊本県ゆかりの作家による作品が展示されています。ロビーには、同町への滞在制作作家・幸田千依さんの作品が常設で展示されています。
館内展示室では、熊本県ゆかりの作家を中心としたアーティストによる、様々な企画展も開催されます(写真提供/つなぎ美術館)。
美術館からは奇岩・重盤岩を望む舞鶴城公園へのモノレールがありますが、令和2年7月豪雨の影響で現在は休業中です(2021年3月現在)。
美術館敷地内にある、佐藤 忠良作「トルソ」。町の各所にさまざまな彫刻が設置されています
スポット情報(2021年4月16日現在)
スポット名 つなぎ美術館
住所 熊本県葦北郡津奈木町岩城494
電話番号 0966-61-2222
営業時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 水曜
駐車場 あり(13台)
関連リンク つなぎ美術館」のホームページはこちら(外部リンク)

森の木々に金色の仏様が彫刻された、神秘的なアート作品

達仏(たつぶつ)

続いて訪れたのは、津奈木町役場の道向かいにある森。この中に、世界的にも著名な現代アーティスト・西野達氏の作品「達仏」があります。その神秘的な景色が話題となり、多くの人が訪れているスポットです。

駐車場から約3分歩くと、小さな森が見えて来ます。その中に入ると…。
森の中に、金色に輝く仏様が! こちらは、かつて憩いの地として整備されたものの使われなくなった森に、地域や⼈々の活⼒ある未来を祈る場として制作された「達仏」です。生木を掘り出して制作された仏像は33体。これは仏教では聖数とされる数だそうです。
緑の中で日の光を浴びて輝く仏様たちの気配に包まれる、不思議な空間に心が穏やかになるのを感じます。
一体一体手彫りされており、姿形もそれぞれ。お気に入りの姿を探すのも楽しそうです。
こんな低い位置にも仏様。ちなみに、西野達氏の作品が公共的な空間で常設されているのは日本ではここだけ、世界でもフランスのナントに次いで2ヵ所目なのだそう。

生木を掘り出しているため、木々は日々成長を続けます。いわば「生きた仏像」です。仏像の足元や背中などから新たな枝が芽吹いたりと、年々新しい姿を見せてくれます。この仏像たちがどのように“成長”していくのか、見守りたいところです。
スポット情報(2021年4月16日現在)
スポット名 達仏
住所 熊本県津奈木町大字小津奈木(津奈木町役場の道向かいが入口)
電話番号 つなぎ美術館 TEL0966-61-2222
駐車場 あり

町内のあちこちで、銅像&道路に描かれた作品めぐり

「緑と彫刻のあるまちづくり」の取り組みにより、津奈木町内には16体の彫刻が設置されています。町内をドライブし海と山の景色を楽しみながら、彫刻をいくつか巡ってみました。

津奈木川の河口に近い「あかね橋」にある「風ん子」(岩野 勇三作)。タンポポの花の種が風に乗って飛んで行く様に、町の子どもたちが元気良く飛び立つ姿を表現した作品。
「あかね橋」から海の方を見ると、「津奈木大橋」にも彫刻「薫風」が見えます。同じ岩野 勇三作です。遠くから見ても存在感のある輝き。
津奈木中学校前の「津南橋」にある「ひまわり」(佐藤 忠良作)。子どものたちの健やかな成長を願った作品。
「つなぎ美術館」の後方にそびえる「舞鶴城公園」の展望所に設置されている「牧歌」は、岩野 勇三氏の絶作となった作品。公害によるイメージを払拭し明るい新時代への思いを込めて作られ、津奈木町を一望できる立地にあります。
「舞鶴城公園」展望所へは、2021年3月現在はモノレールが休業中のため、ふもとから登るか、駐車場から高低差のある遊歩道を歩いていくと到着できます。遊歩道からは、国旗が掲揚される奇岩・重盤岩を真横から見ることもできます
最後に訪れたのは、肥薩おれんじ鉄道「津奈木駅」。
「千代」(岩野 亮介作)は、地元に残る孝女・千代の逸話をモチーフにした作品。馬を招き寄せる千代の姿が彫刻されています。
また、駅周辺ではもう一つ、2015年に開催された画家・淺井裕介氏による「つなぎの根っこ」のワークショップによる作品も楽しめます。道路の横断歩道に使われる白線の材料を使って、淺井氏が子どもたちと一緒に作り上げたもの。津奈木駅構内や、駅近くの町道などに描かれ、合計700mにおよぶ作品になっています。日常の景色にアートが馴染んでいて、とても豊かな風景に感じられます。

海の上の小学校跡が、アートの舞台に

旧赤崎小学校

最後に訪れたのは、旧赤崎小学校。全国唯一の「海の上に立つ校舎」です。学校は2010年3月に閉校となりましたが、この希少な建物や立地を生かし、津奈木町の様々なアートプロジェクトの舞台となっています。

旧赤崎小学校がよく見える「赤崎ビューポイント」。こちらにも、「つなぎの根っこ」の作品が施されています。
まさに、校舎が海の上に浮かんでいるかのよう! 現在はこのような建築方法はできないそうなので、まさに唯一無二の貴重な建物です。
現在、校庭は開放されていて、グラウンドはふれあい広場として地域の人が活用しています。さらに、校庭すぐ近くには、裸島・弁天島・黒島の3島からなる赤尾島が。干潮の時のみ道が現れ、渡ることができる島です。
2013〜2016年には、この裸島に、水曜日だけ灯りが灯る「灯台ポスト」がつくられ、水曜日の出来事が綴られた手紙が集められて無作為に全国の誰かと交換される「赤崎水曜日郵便局」の舞台に。さらに、2017年には2ヵ月間限定で、西野達氏による海の上の「ホテル裸島」が作られるなど、様々なアートプロジェクトが行われています。
さらに、2021年9月には、この旧赤崎小学校のプールを現代美術家・柳幸典氏がリノベーションし、芸術体験ができる宿泊可能な作品「入魂の宿」が作られる予定です(写真は建築模型)。
プールにはビオトープや浮島が作られ、自然が息づく環境に。その真ん中に、水中に沈んでいくかのようなスロープを通し、様々な目線から自然の営みを感じることができます。さらに、宿泊施設には、海と空の景色を取り込むトンネルも。自然の営みとその壊れやすさを体感してもらえる装置としても設計され、プロジェクトが進行しています。

また、先述の「達仏」近くにあるイチョウの森の中でも「石霊の森」という作品の制作が進んでいます。これからも繰り広げられる、新しい津奈木町のアートプロジェクトから目が離せません。

漁業や柑橘が名産の素朴な町でありながら、地域ぐるみでアートとふれあい、アーティスト達もこの町に馴染んで暮らしながら新しい作品を創作していく…。町の根っこにアートがしっかりと根付く豊かな雰囲気に惹かれ、すっかり津奈木町のファンになってしまいました。これからの動きも楽しみです。

※臨時休業や営業時間の変更の可能性がありますので、お出かけの際は、直接店舗に営業時間をご確認ください。
 

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中川千代美

長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。

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