熊本を代表するご当地グルメ「ラーメン」。今回は、熊本ラーメンを代表する熊本市内の人気店をはじめ、観光ついでに立ち寄れる人吉市、荒尾市のラーメン店を3店舗ご紹介。いずれも、地元住民はもちろん市外・県外から足しげく通うファンも多い、“愛される”名店ぞろいです。

熊本市中心街から北方に3kmほど進んだ北区高平に位置する「大黒ラーメン」。熊本市民なら誰しもが知ると言っても過言ではない、1980年創業の老舗ラーメン店です。

店主の中川さんが掲げる「初心を忘れず、基本を大事に」をモットーに、創業以来、豚骨100％のスープと、マー油（ニンニクを油で揚げた香味油）、中太ストレート麺が三位一体となった、熊本ラーメンの王道の味を提供しています。

「飲みやすいスープを目指しています」と中川さんが語る通り、豚の頭骨を鉄ガマと圧力寸胴でじっくり煮だしたスープは、臭みがなく飲み干せるほどマイルドな口当たり。そこに、焦がしニンニクと香ばしいマー油が合わさり、絶妙なコクを演出しています。コシのあるストレート麺は、益城町の老舗・富喜製麺所から仕入れたもの。豚バラをスープで煮込んだ柔らかなチャーシューも絶品です。

ラーメンに加え、常連客から人気を集めるのが「ホルモン煮込み」。米味噌・麦味噌・田舎味噌の3種をブレンドしたタレで、豚の大腸をじっくり煮込んだ一品です。トロッとした食感と甘くコク深い味わいが美味。ラーメンに、ミニサイズのホルモン煮込みとライスがついた「ラーメンセット」で頂くのがおすすめです。

国宝・青井阿蘇神社をはじめ、球磨川くだり、アニメ『夏目友人帳』のモデル地巡りなど、さまざまな観光を楽しめる人吉市。同市を訪れた際にぜひ立ち寄っていただきたいのが、独特な“黒いスープ”のラーメンで県内外からファンを集める「好来（はおらい）ラーメン」です。

創業は1958年。現店主・吉村さんのお父さんが開業し、現在は3代目の息子さんと一緒にお店を切り盛りしています。2020年の熊本豪雨で店舗が冠水し一時期休業していましたが、2022年に再オープン。それ以来、行列ができる人気店としてのれんを掲げています。

同店のラーメンの特徴はなんといっても、ゴマ油とラードを使用したマー油がたっぷりと入った黒いスープ。頭骨とげん骨を5時間かけて煮だした豚骨スープに、ゴマの香りがいいマー油が絡み、唯一無二の芳醇な味わいを楽しめます。スープは見た目ほどこってりしておらず、口当たりは比較的あっさり目。卓上に置かれた唐辛子をトッピングしてピリ辛に味変するのもおすすめです。

お店を継ぐ以前は製麺所で修行をしていた店主の吉村さん。その経験を生かした自家製麺も魅力のひとつです。コシが強くモチッとした食感の中太ストレート麺には、2種類の小麦粉をブレンド。通常のラーメンで、他店の2倍近い麺量があるのも特徴です。大盛のモヤシ、キクラゲとあいまって全体的なボリュームはかなり多いので、少食な人は「麺少なめ」オーダーが◎。

国内トップクラスのアトラクション数を誇る遊園地「グリーンランド」や、明治時代の炭鉱遺産「万田坑」を有する荒尾市。福岡県との県境に位置するこの町で、地元住民から圧倒的な人気を集めるラーメン店が「武蔵ラーメン」です。

店員さんの小気味よいかけ声が響く店内で味わえるのは、久留米ラーメンと熊本ラーメンの“いいとこどり”の豚骨ラーメン。豚骨のみを高温のお湯で炊き上げ旨味を100%引き出したスープは、クリーミーでコク深い味わい。しかしながら、豚骨特有のクセを抑えたあっさりとした口当たりが特徴で、老若男女が食べやすい味と評判です。ネギとチャーシューのみというシンプルなトッピングも“主役”のスープを引き立てます。

麺は数種類の小麦粉をブレンドした低加水の中太ストレート麺。適度な固さと歯切れのよさを両立し、トロッとしたスープによく絡みます。卓上に置かれたニンニクチップをプラスして、より熊本ラーメンに近いパンチを出すのも◎。

同店は豊富なサイドメニューも魅力。一番人気は大盛のチャーシューの切り落としをライスに盛り付けた「刻み豚丼」。特製の甘醤油だれで味付けしたチャーシューにマヨネーズをかけた丼ぶりで、こってり好きにはたまらない一品です。ほろほろのチャーシューがたっぷり入った「豚骨カレーライス」も常連に愛されるサイドメニュー。ラーメンと合わせてぜひお試しあれ。