日本の原風景を歩こう! 里山の魅力を感じる「美里フットパス」

阿蘇くまもと空港から車で約50分、県のほぼ中央に位置する“美里町(みさとまち)”。美しい棚田や石橋など、町のいたるところに里山の風景が残っています。そんな美里町の”ありのままの風景”を楽しむなら、2011年から約12年にわたって続く人気のアクティビティ「美里フットパス」がおすすめ。初秋の風を感じながら、森林や田園地帯をのんびりと歩いてみませんか。
フットパスとは
田園地帯や古い街並みなど、昔からある風景や自然を楽しみながら歩く(foot)ことができる小経(path)のこと。イギリスが発祥で、近年日本でも様々なフットパスが整備されています。なかでも、地域と連携しながら取り組みを続ける美里フットパスは“美里式フットパス”と呼ばれ、全国から注目されています。
全部で18コースも! 美里フットパス

現在、美里町内を巡るフットパスは全18コース。棚田や里山を歩くコースから、恋人の聖地や絶景スポットを経由するコースまで様々です(60分~160分)。
おすすめは、マップを持ってフリーで歩くスタイル。「美里フットパスガイド」には全コースのマップが掲載されているので、スタート前に入手するのがベストです(写真上/1冊1200円)。もちろん、イベントに参加したり、ガイドを依頼することもできるので、それぞれのスタイルでチャレンジしてみて

今回のガイドは、美里まちづくり公社の濱田孝正さん。美里フットパスの創設メンバーの一人で、コース造成も行うガイドのスペシャリストです。
濱田さん曰く、フットパスは元々ある道を活用することが基本だそう。「地図には載っていない道を探すため、コースを作る時は必ず、地元の人から情報を提供してもらっています」と話します
実際にコースを歩いてみよう

私たちがチャレンジするのは、フットパスガイドにも掲載されている「5.柏川(かしわがわ)井出コース」。水の音を聞きながら、片道約2時間ほど歩きます

目印はこの道標と、2色のリボン

ここがコース名になっている「柏川井出」。今から200年以上前に拓かれた用水路で、10㎞以上離れた田畑まで水を供給しています。
透明度も高くて、触ってみるとヒンヤリ!

柏川井出に沿って歩き進めると、その先に姿を現すのが、200年以上前に架けられた水路橋“雄亀滝橋(おけだけばし)”。「こんな山奥に、こんな立派な橋があるとは!」と思ってしまうほど、趣のある橋です。
それもそのはず。実はこの橋、国宝に指定される「通潤橋(つうじゅんきょう)」のモデルになったと言われています。今後ますます注目されそう

ここからは、地元の人しか知らない“秘密の道”に突入。これもフットパスの醍醐味です

(左)鹿の足跡。動物たちの痕跡もあちこちで見ることができます
(右)おっとっと。足場の悪い道だって通りますよ

樹齢50年以上の杉に囲まれた空間は、マイナスイオンたっぷり。
思いっきり深呼吸しながら歩きましょう

どんぐりや栗、カラスウリなど、山の恵みもあちこちに!

山道を抜けると集落が見えてきました

途中、緑×青のコントラストが美しい里山の景色が目に飛び込んできました。これから秋にかけては、田んぼ一面が黄金色に輝き、さらに幻想的な景色が広がっていくそう。
ちなみに美里町には、“美里のマチュピチュ”と言われる小崎集落や白石野集落など、農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に選定された棚田が4ヵ所あり、それぞれがフットパスの立ち寄りルートに入っています

気になったモノがあれば、立ち止まったり、観察しながら、また歩みを進めましょう

ここで小休止。コース上にある光岸寺さんで休憩をさせてもらう事に。最初に訪れたスポット「雄亀滝橋」と深い関わりがあるお寺で、様々な逸話を聞くことができました。
お寺をはじめ、集会所や公民館など、地域にもともとある場所が休憩ポイントになっているのも、美里式フットパスならでは。地域全体で歩く人たちを優しく迎えてくれています

次のスポットへ向かいましょう。
普段は足を踏み入れないであろう道を進んでいくと…

その先に広がっていたのは、「肉状(にくぶせ)の切り通し」。
巨大な崖を彫り込んで作られた道で、思わず見上げてしまう程の迫力

手を伸ばせば届きそうな高さ。
雨が降り込まないので、昔の人は雨天時、ここで宴会をしていたとか

森の中では、エメラルドグリーンに輝く植物・レインボーファンを発見

そして、あっという間にゴール地点の霊台(れいだい)公園に到着。2時間も歩いたのに、みんな表情がスッキリとしています。フットパスは“ゆっくりと散歩する”という感じなので、疲れとは無縁! 心も体もリフレッシュできるのが最大の特徴かも知れませんね。
写真はゴール地点からすぐの場所にある「霊台橋」。日本最大級の石橋で、国の重要文化財にもなっている美しい橋です
フットパスの途中で楽しめる2つのサービス
①美里まるごと「縁側カフェ」

民家の庭や軒先の縁台などを開放して、漬物や手作りお菓子、お茶などを提供してくれる「縁側カフェ」。「地元の人と交流できる」「ちょっとした“おもてなし”が嬉しい」と評判で、美里フットパスの魅力のひとつになっています。
オープンは毎月第2・4日曜と、各種イベント開催日で、それ以外は要相談(12月、1月は休み)。各フットパスコースの近くに5か所あります
★縁側カフェについて
問合せ/0964-48-0740(みやにしのいざわ/井澤さん)
*縁側カフェちらし(PDF)
*縁側カフェMAP(PDF)
②フットパス弁当

事前予約をすれば、地元の食材をたっぷり使った手作り弁当を注文することも可能。
里山の風景を眺めながら食べるもよし! 各休憩スポットで食べるもよし! 大自然の中で食べるお弁当は格別ですよ。1個800円~、詳細は事務局まで
秋以降もイベントが目白押し

美里フットパス協会では、定期的にイベントを開催中。四季折々に表情を変える自然を五感で感じながら、ガイドと一緒に歩いてみませんか


スポット名 | 美里フットパス協会事務局 |
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住所 | 下益城郡美里町三和420 美里町役場砥用庁舎会議棟(株式会社美里まちづくり公社内) |
電話番号 | 0964-27-9850 |
その他 | ★美里フットパスガイド(MAP)販売場所 美里町文化交流センターひびき、元気の森かじか、道の駅美里「佐俣の湯」、佐俣の湯 農産物直売所 わくわく館、砥用物産館ほたる、美里物産館よんなっせ、美里フットパス協会事務局 ★ガイド料/ガイド1名につき5000円、手配料200円×参加人数 ※1名のガイドにつき15名ほど対応 |
URL | https://misatofp.jimdofree.com/ |
温泉に浸かってリフレッシュ「道の駅美里 佐俣の湯」
フットパスで運動した後は、ゆっくりと温泉に浸かって体をリセットしませんか。
美里町役場砥用庁舎から車で約8分、道の駅美里「佐俣の湯」には源泉かけ流しの天然温泉があり、立ち寄りスポットにもってこいの場所です。敷地内には、だご汁やあか牛のステーキ丼が味わえるレストラン、物産館、宿泊施設なども併設されています。

駐車場のすぐ隣には、誰でも気軽に利用できる足湯を完備。実際に浸かってみましたが、体の芯からポカポカになりましたよ。
写真奥は、地元で収穫された新鮮野菜や特産品などが並ぶ「わくわく館」。これからの時季はお米や栗などが狙い目

ヌルっとした湯ざわりで、美肌の湯が楽しめると評判の温泉。泉質はアルカリ性単純温泉で、男湯、女湯それぞれに露天風呂と内風呂があり、雄大な自然を感じながら、ゆっくりと寛げます。家族風呂も人気
スポット名 | 道の駅美里 佐俣の湯 |
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住所 | 下益城郡美里町佐俣705 |
電話番号 | 0964-46-4111 |
営業時間 | 温泉/10:00~21:00(受付~20:30) レストラン/平日月~金曜11:30~15:00、土日祝11:30~18:30 わくわく館(物産館)/9:00~18:00 |
休み | 第2木曜 |
料金 | 温泉入浴料/大人600円、中学生350円、小学生200円、未就学児無料 |
URL | https://samatanoyu-misato.jp// |
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