日本マラソンの父・金栗四三

2019年の大河ドラマ『いだてん』の主人公の一人である金栗四三(かなくりしそう)は、1891(明治24)年、熊本県玉名郡春富村(現・和水町) に生まれました。1912(明治45)年には、日本が初めて参加した近代オリンピック、第5回ストックホルム大会にマラソン代表選手として出場。 その後、1920(大正9)年に初開催された「箱根駅伝」の創設に尽力するなど、さまざまな功績を残しています。2019年、ぜひ注目していただきたい 金栗四三についてご紹介します。
【功績】正月最大のスポーツイベント「箱根駅伝」の創設に尽力!
今や正月の風物詩となっている「東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」。東京~箱根間往復217.1kmを舞台に繰り広げられる感動のレースを毎年楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。1920(大正9)年に初開催された箱根駅伝は、金栗四三なくしては誕生しなかったと言っても過言ではありません。
金栗は、1912(明治45)年にオリンピック ストックホルム大会に出場し、世界のスポーツ競技の水準の高さを目の当たりにすることとなりました。それ以降、自身の競技力の研鑽のみならず、日本におけるスポーツやマラソンの普及に注力。オリンピックの長距離競技で活躍する日本選手を数多く輩出するためにと考え出したのが、複数の人数で長距離を走る駅伝だったのです。

駅伝創設を呼び掛け、それに応じた早大、慶大、明大、東京高師の4校によって、1920年に「四大専門学校対抗駅伝競走」として第1回大会を開催。 現在、“箱根駅伝”として親しまれている「東京箱根間往復大学駅伝競走」の始まりとなりました。また、2004年の第80回大会からは、 最も活躍した選手には「金栗四三杯」が贈られています。

後輩の指導にあたる金栗の写真
【伝説】レース中に行方不明に?!マラソンの「世界最長記録」も樹立。あのマークも金栗四三翁がモデルだった
数々の逸話が残る金栗四三。まずはオリンピックにまつわる伝説を紹介します。日本が初めて参加した第5回オリンピックは、スウェーデン・ストックホルムで開催されました。参加した日本人選手は金栗四三(マラソン)と三島弥彦(短距離走)の2名のみ。ストックホルムまでは、船とシベリア鉄道を経由して、17日間にも及ぶ長旅でした。
7月14日のマラソン競走当日。金栗は移動や慣れない環境による疲れに加え、カーブや上り下りの多い難コース、当日の酷暑のために26.7km地点で意識が朦朧とし、コースを外れて林の中に消えてしまいました。出走者68名中、完走は34名。
亡くなる者も出るような過酷なレースでした。ところが、金栗が途中いなくなったことは主催者に伝わっておらず、行方不明扱いとなり、「消えたオリンピック走者」として語られることに。金栗はスウェーデン人実業家に保護・介抱されていて、目を覚ましたのは翌朝と言われています。そしてこの話には続きがあります。

ストックホルム大会開会式入場行進で「NIPPON」プラカードをもつ金栗四三さんの写真
55年後の1967(昭和42)年。金栗は記念行事の一環としてストックホルムオリンピック委員会から招待され、55年前に果たせなかったオリンピックのゴールインを祝賀行事として行うこととなったのです。75歳の金栗は両手を上げてゴールテープを切りました。その時、「日本の金栗四三選手、ただいまゴールインしました。
タイム54年と8か月6日5時間32分20秒3、これをもちまして、第5回ストックホルムオリンピック大会の全種目を終了いたします」とアナウンスが流れ、会場は大きな拍手に包まれました。この記録は、マラソンの世界最長記録として語られています。
もう一つの伝説は、大阪・道頓堀のネオンなどであまりにも有名な江崎グリコの「ゴールインマーク」マークのモデルの一人にもなったということです。江崎グリコ創始者である江崎利一氏が、金栗四三などの陸上選手のにこやかなゴールイン姿をモデルにしたという旨を語ったと言われています。

金栗四三ゴールの様子の写真
金栗四三のあしあとを知るにはここへ行こう!
大河ドラマの世界を肌で感じる!「いだてん 大河ドラマ館」
2019年1月12日(土)~2020年1月13日(月・祝)の期間限定で「いだてん 大河ドラマ館」が開館します。小道具、出演者の衣装を展示するほか、4Kを使用したシアターを設置し、「いだてん」の世界を体験できる施設です。

スポット名 | いだてん 大河ドラマ館 |
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住所 | 玉名市繁根木163(旧玉名市役所跡地) |
電話番号 | 0570-06-5588(チケット販売管理センター) |
営業時間 | 9:00~17:00(最終入館16:30) |
料金 | 高校生以上600円、小中学生300円 ※団体(20名様以上)、前売り入場券あり |
関連リンク | いだてん大河ドラマ館(外部リンク) |
日本マラソンの父 金栗四三ミュージアム
2019年1月11日(土)~2020年1月13日(月)の期間限定オープン。金栗が使用したユニフォームやマラソン足袋など、ゆかりの品々や貴重な写真の展示をはじめ、ここでしか見ることのできない映像や体験コンテンツなどを通して、その生涯や功績、スピリットなど金栗の魅力を紹介します。

スポット名 | 日本マラソンの父 金栗四三ミュージアム |
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住所 | 玉名郡和水町大田黒623-1(国道443号沿い 三加和温泉ふるさと交流センター隣接) |
電話番号 | 0968-86-5725(和水町商工観光課) |
営業時間 | 9時~17時(最終入場は16時30分) |
料金 | 高校生以上600円、中学生以下300円(就学前児童無料) |
関連リンク | 日本マラソンの父 金栗四三ミュージアム(外部リンク) |
※期間が終了したため閉館いたしました。
金栗四三生家記念館
【金栗四三生家記念館開館のお知らせ】 最終更新日:2019年1月27日 1月26日の地震発生により、「金栗四三生家記念館」を一時休館しておりましたが、今回の地震による被害がないことを確認しましたので、1月27日の午前11時から開館いたしました。 大変ご迷惑をおかけいたしましたが、今後ともよろしくお願いします。 皆様のご来場を心からお待ちしています。 |
和水町には、金栗が生まれ育った生家が築200年以上たった今でも現存しており、「金栗四三生家記念館」として2019年1月から一般公開を開始。金栗が6年間を過ごした通称「学校部屋」などを見学することができます。また、金栗ゆかりの「金栗四三ロード」もおすすめ。子どもの頃、和水町から隣の南関町の尋常小学校までの約6kmを駆け足で通学し、マラソン人生の基礎となったコースです。

スポット名 | 金栗四三生家記念館 |
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住所 | 玉名郡和水町中林546 |
電話番号 | 0968-34-3047(和水町教育委員会社会教育課) |
営業時間 | 9時~17時(最終入場は16時30分) |
料金 | 高校生以上300円、中学生以下200円(就学前児童無料) |
関連リンク | 日本マラソンの父 金栗四三ミュージアム(外部リンク) |