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パンフレット

旅のおすすめ記事最新トレンドから絶対外せない王道まで!熊本の楽しみ方をご紹介します

観光の一歩先へ。「地域おこし協力隊」、それぞれの“場づくり”の物語。

写真:カフェの店内

過疎や高齢化の進む地域で、その魅力を掘り起こす「地域おこし協力隊」。県内各地でも、地域おこし協力隊による外からの視線を取り入れたさまざまな取り組みが活発に行われています。地域の豊かな自然の風景や特産物、温かい人とのつながり…。“観光”の一歩先にある地域とふれあい、その魅力を発信する「いわらぼ」の星野さん、「緑川SUP」の山崎さん、「malou」の水上和磨さんの3人の“居場所”について話を伺いました。

・地域づくり団体「いわらぼ(維和島振興協議会)」
・malou
・緑川SUP

旬を感じる島暮らしの魅力を地域の仲間とともに発信!

地域づくり団体「いわらぼ(維和島振興協議会)」

上天草市大矢野町。漁師町の風情が漂う維和島(いわじま)。この島で地域づくり団体「いわらぼ(維和島振興協議会)」を立ち上げた星野さんは、熊本に生まれ、埼玉で育ちました。2019年に地域おこし協力隊として祖母の暮らす維和島への移住を決意したのは、社会人になってこの島を訪れたとき。「社会人になって、初めてこの場所に自分の意志で訪れたのですが、自分の居場所はひとつではない、と感じて心底ホッとしたんです」と星野さん。

写真:いわらぼの方々

たびたび島に足を運ぶようになると、高齢化や空き家問題をはじめとする島の課題も見えてきたとか。地域おこし協力隊に就任後は、島の魅力を伝えるモニターツアーの企画や、島の生産者と親交を深めるなかで野菜や柑橘類などの島グルメを発送する「星のマルシェ」を立ち上げるなど、活動を続けてきましたが程なく、コロナ禍に突入。地域おこし協力隊として思うような活動ができずにいた星野さんですが、その間に温めていた構想を今、ひとつずつ形にしています。

写真:野菜
これまでは維和島のある上天草市の食材そのものを提供する事業形態だけでなく、地域の食材を使ったメニュー開発を進めたところ、「馴染み深い食材がこんな風にアレンジできるなんて」と地元の人たちから喜んでもらえたことに手応えを感じたという星野さん。上天草市のPR活動を兼ねてキッチンカーを使って定期的に県内外のイベントに出店しています。
写真:キッチンカーに並ぶ様子

最近は個々で活動していた地域おこし協力隊の仲間との交流も始まり、食材を育てる、調達する、メニューを仕込み、販売をする一連の流れを協力しながら行い、キッチンカーでの活動にみんなで取り組めるようになったそう。「まさか自分がスパイスカレーを作るようになるとは想像していなかったけど、仲間を得られたことでできる活動が一気に広がりました」と微笑む星野さん。

写真:カレーを煮込む星野さん

今後は、空き家を活用した集いの場と宿泊施設の開業や、いつでもスパイスカレーを食べられてお茶が飲める店舗の構築、インターネットでの食材の通信販売などを進めながら、環境問題への意識も高めて行きたいとのこと。「農業や漁業が身近な存在だからこそ、資源に返すところまでを意識していきたいし、食材を取り扱う以上、食品ロスをできるだけ減らす方法を考えています」と語る星野さんの日常は、地域とともに生きる喜びに満ちています。

スポット情報(2023年3月10日現在)
スポット名 地域づくり団体「いわらぼ(維和島振興協議会)」
所在地 熊本県上天草市大矢野町維和1787
ホームページ

地域づくり団体「いわらぼ(維和島振興協議会)
Facebookはこちら(外部リンク)
インスタグラムはこちら(外部リンク)

日常の美しさに心やすらぐ。 和水町の空気感を体感する空間

malou
写真:かつてのコンビニの写真
写真:水上さん夫妻

2022年6月、和水町の交差点の一角にオープンした「malou」。かつて“コンビニエンス”という名前のスーパーがあった跡地。長らく空き家になっていた場所です。ここを再生させたのが、2020年8月に東京から和水町に移住した水上さん夫妻。熊本生まれの夫・和磨さんと、神奈川出身の妻・萌さんです。東京生活では、夫婦ともに建築関係の仕事をしていたこともあり、おふたりのことを気にかける地域の方々と一緒に知恵を絞り合いながら、できる限り自分たちの手を動かし、空間を作り上げたとか。

写真:本を眺める和磨さん
写真:ケーキやお茶

夫の和磨さんは、2020年から和水町の地域おこし協力隊として就任。現在は、菊水インターからすぐの「道の駅きくすい菊水ロマン館」の敷地内にあるキャンピングカーの中にブースを設け、移住定住を検討されている方々の窓口となって空き家や物件の紹介をするなど、和水の魅力を発信しています。「人口減少や高齢化が進む和水地域ですが、最近は県内の各市町村はもちろん、福岡や関西圏からの問い合わせも増えています。1泊1500円ほどで利用できる古民家を改修した宿『お試し暮らし住宅』もオススメです。地域に暮らす感覚をシミュレーションしたり、地域の祭りに参加するなど、地域をより深く知ることができます」と和磨さん。

写真:入口の様子
写真:外観

現在も地域おこし協力隊として活動を続ける傍ら、和磨さんが夫婦でスタートさせた『malou』も、地域との関わりなくしては生まれ得なかった場です。「みんなでアイディアを出し合って現場を作り上げていくのが好き」という水上さん夫妻の人柄に吸い寄せられるように、地元の大工さんや職人さんたちとの場づくりは、他にない個性を放つ空間が広がっています。

写真:外観

店内の中央に位置するカウンターは妻の萌さんの設計で、そのほかの什器やパーツは、元々あったものを磨き、再生させたものばかり。店内には本好きのおふたりがセレクトした本が並び、カフェ奥のギャラリースペースや、手前のキッズスペースではヨガやアート教室など、ゆるやかに用途が変化する余白のある空間を楽しめます。玄米粉と平飼い有精卵を使ったパウンドケーキ(550円〜)やバスクチーズケーキ(700円)、自然栽培の中国茶(600円)など、すこやかな食材を使った心と体がほぐれるメニューをゆったりとした空間で味わえます。

写真:ケーキ

「和水町は、田舎でも住んでみたらそんなに不便は感じなかったんです。移住当初は、少なからず感じていた都会と田舎のギャップも今は、特に意識することなく自分たちのペースで暮らせています。それ以上に、朝日が朝靄を照らして綺麗だな、とか梅の花が咲き始めたな、とかそういう絶景ではないけれど、日常の隙間にホッとできる瞬間がコロコロといくつも転がっていて、今はそういう自然の風景に支えられています」。和水町のおだやかな風の中に、自分の居場所を作り上げた和磨さん。和水町の豊かなカルチャーを育む、新たな土壌がここから始ります。

スポット情報(2023年3月10日現在)
スポット名 malou
電話番号 050-3479-2575
所在地 玉名郡和水町板楠2575−1
営業時間 12:00~17:00
店休日 日~水曜
ホームページ malouのインスタグラムはこちら(外部リンク)

大人になった時に思い返したくなる “大切なもの”を遊びの中で育んで。

緑川SUP

熊本県中部を流れ、有明海の島原湾に注ぐ緑川。この川の流域でSUPの体験教室を開催している「緑川SUP」の山崎さん。「SUPの上で寝転がったり、競争したり、落とし合いをしたり。その時のお客さんに応じてさまざまな体験プログラムを提供しています」。SUPとは、サーフィンで溺れかけた人を助けるために始まったハワイ発祥のスポーツです。「泳げなくても必ず乗ることができるので安心してください。サーフボードの形をした浮き輪のような感覚ですよ」と笑顔を見せる山崎さんは、下益城郡美里町の地域おこし協力隊として活動していました。

写真:有明海の島原湾
写真:SUPを漕いでいる様子
写真:有明海の島原湾とSUP

任期終了後も美里町に居を構え「緑川流域ににぎわいをもたらしたい」とSUPの体験教室を主宰しています。「緑川はおだやかな川ですが、今はほとんど遊んでいる子どもを見かけません。今の子どもたちは川遊びに親しむ機会が圧倒的に少ないです。川は危険だから近寄らないのではなく、親子で自然と触れる中で川はどういう風に危険なのか、を分析し、学ぶことが大切だと思います」と山崎さんは話します。

写真:SUPに乗る山崎さん

教員の道を志していた山崎さんは、20代の頃に旅をする中で「人為的でないものの偉大さ」を体感しながら、“自然体験こそ人間の喜び”だと気づきます。その後は、勉強よりも「子どもたちにもっと自然の中での遊びの大切さを伝えたい」と、北海道や沖縄など大自然の中に身を置く環境で働き始めます。「沖縄の離島の民泊では働いていた時に、屋根の修理から船の手入れ、草刈りなど多岐にわたる作業が仕事となりました。島の人たちや地域に溶け込む仕事をしたいと思った時に、海と山と町というフィールドが手の届く場所にある美里町へ、地域おこし協力隊としてやってきたのだといいます。
 

写真:SUPを楽しむ様子

現在は「教科書に載っていない遊びこそ学び」という考えを軸に、教育関係の仕事をしながらSUPの体験教室を行っています。「知識として情報を得ることと実際になってみることは違いますよね」と山崎さん。「例えば、遊びの中で“滑り台でぶつかったら、誰が1番痛いと思う?”と子どもたちに問いかけてみたり、火起こしから始めておやつの焼き芋を作ったり。“またやりたいな”と思える経験を重ねて大人になることが大事で、子どもの頃はそういう大事なものを作る大切な時期なんです」と語る山崎さんは、子どものようにまっすぐな眼をしていました。

写真:SUPの様子
スポット情報(2023年3月10日現在)
スポット名 緑川SUP
電話番号 080-6135-3118
営業時間 10:30~17:00
店休日 月~金曜 ※祝日の場合は営業
ホームページ 緑川SUPはのホームページこちら(外部リンク)

中城明日香

大分県生まれ、熊本市在住の編集者・ライター。
地域の出版社・編集プロダクションを経て、独立。

自然、暮らし、農業、教育、観光、ファッション、アートなど、“毎瞬”を楽しむ姿勢で幅広いジャンルの記事を手がける。仕事もプライベートも書くことが生業。

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