Kumamoto Japan
SUMMER TRAVEL LOG vol.1

Logged by (公社)熊本県観光連盟
大自然を満喫できる阿蘇やイルカウォッチング、温泉、世界遺産など熊本県の魅力を紹介します。
天草で潜伏キリシタンの
歴史が残る世界遺産の集落や
クルーズを楽しむ旅
OVERVIEW
熊本県西部の天草諸島は、九州本土とは天草五橋と呼ばれる5つの橋で結ばれています。2018(平成30)年に世界遺産に登録された「崎津集落」をはじめ、豊かな自然と歴史的価値を持った名所が数多くあります。夏に天草を旅行する際、その周辺エリアを含めぜひ訪れておきたいスポットやアクティビティを紹介します。

御輿来海岸
カメラマンの心を捉え、日本の“渚百選”“夕日百選”にも選出
九州本土の北部から天草諸島に向かう途中にある熊本県宇土市。JR網田駅から車で5分のところに日本の「渚百選」「日本の夕陽百選」に選定された景勝地と知られる御輿来海岸(おこしきかいがん)があります。「古事記」や「日本書紀」に登場する景行(けいこう)天皇が九州遠征を行った際、その美しい海岸線が目に留まり、しばし御輿をとめて見入られたという伝説を持つ有明海の海岸です。
有明海は、満潮と干潮の潮位の差、干満の差が日本一といわれ、潮が引いた御輿来海岸の砂地には、風と波によって形成された優美な曲線の砂紋(砂干潟)が約5キロメートルにわたってあらわれます。

中でも干潮と夕陽が重なる「干潟景勝の地」からの眺めは格別。夕日に照らされた三日月上の砂紋が浮かび上がる光景をおさめようと、多くのカメラマンがこの風景を狙いに訪れます。近くには、道の駅宇土マリーナもあるので、海沿いドライブの休憩がてら、足を止め、じっくりとその景色を楽しむのもいいでしょう。

御輿来海岸 --- 宇土市
三角西(旧)港
明治時代にタイムスリップ、石積みの埠頭と西洋建築の街並み
御輿来海岸から海岸線沿いをドライブしながら約15分。熊本県宇城市に石積みの埠頭や水路、西洋建築物が当時のまま現存している三角西港(みすみにしこう)があります。ここは明治政府が国家の近代化を推進するための殖産興業という政策に基づいて築港されました。

オランダ人水理工師であるローエンホルスト・ムルドルの設計と、天草の熟練した石工職人たちの手によって施工。築港に関わったのは、石工職人13万8376人、大工8421人、人夫は5万591人、潜水夫300人とも伝えられており、約3年の月日をかけて当時の最新技術を用いた近代的な港湾都市が造られました。西洋式の設計と熊本伝統の石像技術を合わせた港湾は明治三大築港の一つといわれています。

三角西港 --- 宇城市

三角西港は、2階建ての商店や旅館、白壁の倉庫群が続々と建てられ急速に発展していきました。100年以上が経った今でもモダンな建築物が残っており、その街並みは「明治のニュータウン」そのものです。その中の一つ、明治20(1887)年に建てられ、平成10年に修復された「旧高田回漕(かいそう)店」は、4隻の汽船を持っていた回船問屋の建物があります。築港当時に建てられた建物としては、唯一そのままの面影を残す貴重な歴史資産となっており、中は自由に見学することができます。
すぐ近くには、港を設計したムルドルの名にちなんだ物産館もあります。店内には、レトロなパッケージの洋菓子や、三角西港をイメージした土産物が販売されています。さらに南へ歩いていくと、明治天皇が好んだといわれる軍艦・龍驤の名を冠した「龍驤舘(りゅうじょうかん)」や、「旧三角海運倉庫」もあります。2015(平成27)年には、明治の築港施設がそのままの姿で残されている貴重な資産として、世界文化遺産に登録されました。

旧高田回漕店 --- 宇城市
倉岳神社
天草の島々や海をぐるりと360度眺望、穴場の絶景スポット
天草五橋を渡り終え、南西に向けて車で約1時間。天草最高峰の山で、御神体といわれている上天島南部の倉岳(標高682メートル)がそびえます。山頂には海を守る「倉岳(くらたけ)神社」があります。1972(昭和47)年の上天草大水害により、登山道は封鎖されていましたが、2012(平成24)年7月に地元のまちづくり団体やパラグライダー愛好者の協力で「延命登山道」が開通。車で登山できるようになりました。狭い山道を車で約25分走っていくと、登りきることができます。
この倉岳の山頂に不思議な井戸があります。「倉岳霊水」と呼ばれ、山頂にもかかわらず水が湧いているのです。言い伝えによると、1955(昭和30)年12月、御所浦町出身の妙法寺・近藤妙有法尼が、水がない倉岳神社のために、山頂に向かって2時間にわたって祈祷した後、この場所を掘り下げたところ岩間から水がにじみ出たとされています。この水は未来永劫枯れることはないと、法尼は言い残していると伝えられています。

倉岳神社からは、島々や海を360度眺望でき、天草の中でもとびきりの絶景。神秘的な雰囲気に包まれながらの不思議な空間を堪能できます。

倉岳神社 --- 天草市
天草クルージング
青く煌めく天草の海をクルージング、約200頭のイルカとの出会いも
天草は北に有明海、東に八代海、西に東シナ海の天草灘が広がり、三方を海に囲まれています。海を楽しむアクティビティとしておすすめは、「クルージング」。

天草五橋を巡るクルージングや、夕日百選にも選ばれている天草の夕日が眺望できるサンセットクルージング、イルカウオッチングがあります。中でもイルカに触れ合えるイルカウオッチングが人気。天草周辺は餌が豊富なこともあり、野生のミナミハンドウイルカが約200頭生息しているとされています。数が多いこともあり、ほぼ1年を通してイルカを確認できるのが大きな特徴です。

漁船やクルーズ船に乗って、天草諸島北東にある通詞島という小さな島の沖合でイルカウオッチングは行われます。イルカの姿は運がよければ陸上から目撃することもできます。鬼池(おにいけ)港や国道324号沿いなどの場所から海をよく見つめていれば、悠々と泳ぐイルカの姿を確認できるかもしれません。
崎津集落
240年にわたる潜伏キリシタンの歴史が今も残る集落
天草諸島の下島南部に位置する崎津集落(さきつしゅうらく)は歴史由緒ある集落です。江戸時代に起こった「島原・天草一揆」は、藩の厳しい年貢の取り立てに耐えられなくなった農民と潜伏キリシタンが共に起こした日本の歴史上最大規模の一揆です。「キリスト教禁止令」により弾圧されていたキリシタンも参加していることから、宗教反乱としての側面も持っているのが大きな特徴です。

崎津集落は、そんなキリシタンたちが隠れ住んでいた地とされています。その文化的背景から、2018(平成30)年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録されました。集落内には、神道とキリスト教が交錯し、独特の空間や文化が広がっています。

崎津集落 --- 天草市

崎津集落ではレンタサイクルを利用できます。好天に恵まれたときには、サイクリングをしながら集落内を巡るのもおすすめです。ぜひ訪れておきたいのが大浦天主堂「崎津教会」。1569(永禄12)年に建てられましたが、禁教令が実施されてから迫害を受けてきました。尖頭アーチに十字架を掲げたゴシック様式の教会は、重厚感あふれる外観。それとは逆に堂内は畳敷きで和と洋が融合しており、天草の文化と信仰が共にあったことがうかがえます。1934(昭和9)年、フランス人宣教師ハルブ神父の時代に再建されました。
