生まれ変わった『熊本市動植物園』へ行こう

開園から2019年で90年、現在の場所に移って50周年と節目を迎えた『熊本市動植物園』。熊本市民の心の原風景として、時代をまたいで愛され続けるその場所に、改めて足を運んでみました。
- 熊本市動植物園
熊本市東区健軍にある『熊本市動植物園』。'16年の熊本地震で被災し、多くの被害を受けた同園は、'18年12月に晴れて2年8ヶ月ぶりに全面開園を果たした。
まず向かったのは、アフリカゾウのマリとエリーのいる場所。オススメは、『ふれあい広場』で毎朝9時から行われるゾウの“訓練”の様子を観ること。この“訓練”とは、ゾウたちの健康管理のために1日2回(9時・16時)、一定の動きを促し体調をチェックするというもの。飼育員さんの掛け声に合わせて足を上げたり、寝そべったりと器用にこなすゾウたち。訓練のメニューは朝と夕方で異なるため、両方観ても十分楽しめる。

国内では比較的珍しいアフリカゾウ。2頭のゾウたちは、しっぽに毛が無いのがマリで、しっぽに毛があるのがエリー

ゾウの訓練の様子。歩行に異常はないか、怪我はないかをチェックするとともに、万が一異常があった際もスムーズに診察ができるように、普段から横になる練習は欠かさないのだとか

園内に設置された99枚の看板は公益社団法人『日本動物園水族館協会』に全国から寄せられた熊本地震への寄付によって製作された
正門からほど近い場所にあるリニューアルした猛獣スポットは、彼らの一挙手一投足に観客が沸く。勇ましいたてがみも鳴き声も大迫力の佇まいだが、実は彼らは人間が大好き。油断すると猫のような愛くるしいポーズを披露してくれる彼らの見た目とはギャップのある個性をじっくり観察してみてほしい。

ライオンのサンは、被災後自身の生まれ故郷である大分県の『アフリカンサファリ』で避難生活を過ごしていた。そして'18年に『熊本市動植物園』に帰って来た時、サンの隣にはお嫁さんのクリアが…!

ユキヒョウのスピカはマイペースながら心配性。避難生活を送っていた『大牟田市動植物園』では、しっぽからの採血など体調管理に役立つ“訓練”もマスターしたのだそう

トラのチャチャは少し臆病者で、人一倍人懐っこい性格の持ち主。獣医さんや飼育員さんなど慣れ親しんでいる人の声を認識しており「チャチャ!」と名前を呼ぶと真っ先に反応する愛らしい一面も
全国で10頭しか生息していない絶滅危惧種のシフゾウの夫婦や、希少種のヒクイドリなどの草食動物がお目見え。シフゾウに象徴されるように、ここでは動物と人とのふれあいの場を提供するだけでなく、種の保存という意味でも大きな役割を担っている。

大きな角を掲げたシフゾウは、現在日本に10頭しか生息していない絶滅危惧種

女の子のマーチとポコは、比較的人間に近寄ってきてくれるが、そのかわいい見た目に気を取られていると、突然ツバを吐かれることもあるので気をつけて

自然界にこんなにも美しい発色があるんだなぁ、と思わず見入ってしまうのはヒクイドリのジアとリク
スポット名 | 熊本市動植物園 |
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住所 | 熊本県熊本市東区健軍5-14-2 |
電話番号 | 096-368-4416 |
営業時間 | 9:00~17:00(入園は16:30まで) |
定休日 | 月曜 ※第4月曜は開園、翌日が休園(祝日の場合は次の休日が閉園) |
カード | 不可 |
駐車場 | あり |
入園料 | 大人・高校生300円、小・中学生100円、幼児無料 ※30名以上で団体割引あり |
開園から90年、現在の場所に移って50周年を迎えた『熊本市動植物園』。今回ご紹介した以外にも、ホッキョクグマやカバ、ペンギン、そして国内でも珍しいムネアカカンムリバトなど、さまざまな動物たちが暮らしています。ぜひ会いに行かれてみてください。

跡部千夏
熊本生まれのライター、エディター。広告制作ディレクターを経て、地元・熊本の豊かな自然、魅力的なスポットの数々、そして人々の温かさを多くの人に伝えたいと思っています。日々のエネルギー補給は映画・お笑い・音楽鑑賞
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