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パンフレット

旅のおすすめ記事最新トレンドから絶対外せない王道まで!熊本の楽しみ方をご紹介します

熊本で見つけた、心躍る「洞窟」スポット

写真:鍾乳洞の中の様子

途方もない時間をかけて形成された自然の洞窟や鍾乳洞。その姿を目の当たりにすると、人は自然の神秘に心踊らせ、悠久の時に思いを馳せてしまうもの。熊本県で洞窟といえば、鍾乳洞の「球泉洞」(球磨村)が有名ですが、他にも心に残る魅力を持つ洞窟スポットがあります。ぜひ、自然の神秘とパワーを感じに、洞窟に探検へ出かけませんか?

・白滝鍾乳洞(五木村)
・霊巌洞(熊本市)
・穿の洞窟(山都町)

エメラルドグリーンの川の奥にある、探検ができる小さな鍾乳洞

白滝鍾乳洞
写真:鍾乳洞の中の様子

熊本県南部に位置し、標高1000m以上の山々が連なる九州山地の中に位置する五木村(いつきむら)。球磨川へと注ぐ清流・川辺川や山岳地帯など、豊かで美しい自然に恵まれた、秘境的な魅力を持つ村です。こちらに、プチ探検気分が味わえる鍾乳洞があります。

写真:白滝公園の駐車場

八代市から五木村を目指して上る県道25号線沿いに見える、「白滝公園」の看板。この公園内に、お目当ての「白滝鍾乳洞」はあります。道沿いに数台と、敷地内に広い駐車場があるので、車でのアクセスも安心です。

写真:吊橋の様子

吊橋の下には、美しい川が見えます。五木小川と飯干川が合流する場所にあるこの公園。渓流の美しさも見所の1つです。

写真:石灰岩の断崖

公園内へと歩みを進めると、見上げるほどの岩壁が見えてきました。これは、高さ70m、幅200mの切り立った石灰岩の断崖。その岩肌が、まるで滝が流れ落ちるように見えることから、公園名にもある「白滝」の地名の由来になったそうです。大迫力!

写真:看板とライトアップの機械

さて、案内版を頼りに公園の奥へと歩みを進めると、看板と小さな機械が見えてきました。この奥に鍾乳洞があります。入口でこの機械に100円を入れると、20分間、洞内がライトアップされるのだそう。ワクワクしながらコインを入れます。

写真:白滝公園の川の様子

そのまま、鍾乳洞に続く遊歩道へ歩みを進めました。すぐ脇には、美しいエメラルドグリーンの川。この「白滝公園」は川遊びスポットとしても有名で、夏になると多くの水遊び客でにぎわうそうです。(キャンプ場ではないので、キャンプはできません、ご注意を)
白い石灰岩とエメラルドグリーンの清流とのコントラストにも、しばしうっとりしてしまいます。

写真:鍾乳洞の入口

さあ、鍾乳洞の入口が見えてきました。洞内からはとても澄んだ水が流れ出ているのも確認できます。さあ、探検のスタートです!

写真:鍾乳洞の入口

入口から入ると、すぐにライトアップの明かりが見えます。通路も整備されているので歩きやすく、安心です。取材時は秋で、ちょうど鍾乳洞内と外の温度が同じくらいでしたが、夏に訪れるとひんやり、冬に訪れると少し暖かく感じるようです。

写真:ライトアップされた鍾乳洞

ライトアップは赤、青、緑、紫…と、七色に切り替わっていきます。自然の造形が人工的な明かりに鮮やかに照らされ、なんともいえない景色。写真映えも抜群です。

写真:水路の上の階段

通路は、洞内から流れ出てくる水路の上に張られているので、足下に水が流れ出ているのを感じることができます。途中、階段になっているこの場所は、まるで滝上を歩いているかのような感覚。轟々と水が流れ落ち、大迫力です。

写真:水路の上の階段を上る様子
触れそうな程に近い、鍾乳洞の岩壁の質感なども見ながら、奥へと歩みを進めていきます。
写真:鍾乳洞の最奥地
さあ、最奥地に辿り着きました!この足元には、水深30mともいわれる泉があります。ここから美しい水が湧き出ているのだそうです。
写真:鍾乳洞の天井を見上げる様子

見上げると、上の方に小さな洞穴も見えます。鍾乳石独特の壁の質感なども楽しめて、ついグルグルと見回してしまいます。奥行き15mほどの決して大きくはない鍾乳洞ですが、何千年の年月を経てこの洞窟ができたのだろうと、思いを馳せてしまいました。

写真:鍾乳洞の様子
写真:鍾乳洞の様子

帰り道も、鍾乳石のさまざまな表情に見とれたり、泉から流れ出ている水の透明度に驚いたり…。

写真:エメラルドグリーンの清流
さあ、外界に戻ってきました!エメラルドグリーンの清流がまた出迎えてくれます。わずか数分間の洞窟探検。壮大で豊かな自然の景色と共に楽しめて、とても心に残る時間になりました。
スポット情報(2023年11月24日現在)
スポット名 白滝鍾乳洞(白滝公園)
住所 熊本県球磨郡五木村乙
電話番号 0966-37-2247(五木村産業振興課)
料金 入場無料 ※鍾乳洞のライトアップは100円かかります
駐車場 あり
URL 五木村(観光情報ページ)

霊場の中に潜む、宮本武蔵が「五輪書」をしたためた洞窟

霊巖洞(れいがんどう)
写真:霊巌洞の様子

熊本市の西側にある金峰山(きんぽうざん)。標高665mの自然豊かな山で、熊本市一望の眺望スポットや、夏目漱石の「草枕」に登場する「峠の茶屋」、さらにハイキングコースなど、見所やお出かけスポットも豊富で、熊本市民の憩いの場にもなっています。そんな金峰山の、魅力的なスポットの1つが、宮本武蔵が五輪書をしたためた洞窟、「霊巖洞」(れいがんどう)です。

写真:雲巌禅寺

熊本市街地方面から金峰山を抜けて有明海方面へと通じる県道101号線から脇に入り、山の中の道を通ると、お寺の入口に辿り着きました。

霊巖洞があるのは、この豊かな自然に囲まれた「雲巖禅寺」(うんがんぜんじ)の敷地内。神秘的な霊場としても知られるこのお寺の奥にあります。駐車場もゆったり広く、山々や田園、眺望の景色豊かなドライブを楽しみながら到着。 入口で入園料を支払い、さあ、洞窟へと向かいます。

写真:資料館の内装
写真:資料館の展示品

入口近くの資料館には、宮本武蔵にまつわる資料が展示されています。肖像画や武蔵による掛け軸画の写し、五輪書の写本、さらには、「巌流島で武蔵が使用したとされる木刀」も…! 史料を目に、心を高めます。

写真:霊巌洞までの通路

霊巖洞までの通路は、岩山を削って作られたという小路を通っていきます。歩道は整備されていますが、少し歩きにくい場所もあるので、スニーカーなど歩きやすい靴での訪問がベターです。豊かな樹木に囲まれ、木漏れ日が降り注ぐ苔むした滑らかな岩肌にも、心惹かれます。

写真:岩肌にずらりと並ぶ石仏

まず見えてきたのが、岩肌にずらりと並ぶ石仏。これが、同寺のもう一つの名所である「五百羅漢」(ごひゃくらかん)です。

写真:圧巻の五百羅漢

岩山を埋め尽くさんばかりの、圧巻の五百羅漢、約200年前に熊本の商人渕田屋儀平が24年の歳月をかけて奉納したと言われています。とても信心深い商人さんだったのでしょうか。

写真:五百羅漢
写真:五百羅漢

表情もポーズも1つ1つ違う石仏像。それぞれをボンヤリ眺めてしまいます。妙に気になる“推し”の1体も見つかるかもしれません。

写真:閻魔洞の様子

石仏達に見守られながら歩みを進め、洞窟の中にある祠「閻魔洞」(えんまどう)などにもお参りしつつ…。

写真:大きな石塔
見えてきたのは、大きな石塔、そしてその奥には…。
写真:霊巌洞の入り口

見上げるほどの高さの位置に、大きな洞窟が見えてきました。ここが霊巖洞です。石段を登って洞窟内へ入ることができます。早速、行ってみましょう!

写真:洞窟内の様子

洞窟内には岩戸観音(いわとかんのん)の名で知られる観音像が安置されています。霊巖洞がある雲巖禅寺は、南北朝時代に日本に渡来した元の禅僧・東陵永與によって開かれていたといわれていますが、この岩戸観音はそれよりも歴史が古いのだそうです。そして、この洞窟の上の部分をよく見てみると…。

写真:石に掘られた「霊巌洞」の文字

東陵永與によって掘られたと言われる「霊巖洞」の文字が。数百年も昔の刻が残っているとは、歴史のロマンを感じます。

写真:霊巌洞の様子

そして、宮本武蔵が2年の歳月をかけて兵法書・五輪書をしたためたというこの洞窟。霊場でもあることから、神秘的な雰囲気に包まれています。

写真:洞窟から見る外の様子

洞窟からまっすぐ外を見ると、木々と自然光が目に飛び込んできます。とても静かで心も穏やかになる雰囲気。宮本武蔵も同じ景色を見ながら座禅を組み、書をしたためていたのかも知れないと、思いを馳せてしまいます。

写真:寛永16年に彫られた細川家家老の逆修

洞内の壁面には、寛永16年に彫られた細川家家老の逆修(生前に戒名をつけてもらい、一般の葬式などを生前修行厳修するもの)が彫られている場所も。その時代ごとに、霊場として大切に守られてきている場であることを感じます。

写真:洞窟から外を見る様子

歴史に詳しくなくとも、この場所の厳かさとかけがえのなさを肌で感じることができる洞窟。歴史のロマンに触れ、心身が澄んでいくような、心豊かになる洞窟探検でした。

スポット情報(2023年11月24日現在)
スポット名 霊巖洞・五百羅漢(「雲巖禅寺」内)
住所 熊本県熊本市西区松尾町平山589
電話番号 096-329-8854(雲巖禅寺)
開放時間 8:00〜17:00
料金 大人300円、高校生200円、小・中学生100円、未就学時無料
駐車場 あり

宮崎まで通じている? 伝説が残る、ご神体の洞窟

穿(うげ)の洞窟
写真:穿の洞窟

九州のほぼ真ん中に位置する山都町(やまとちょう)。阿蘇地域にも隣接しており高原や九州脊梁山地を有する、壮大で美しい自然が魅力的な町です。今回のお目当ての洞窟は、その山の奥地の方にあります。

写真:穿の洞窟の駐車場

山都町の国道から30分程、一級河川・緑川(みどりかわ)の源流である緑仙峡(りょくせんきょう)方面へ車を走らせ、さらにそこから奥へと進むと、駐車場が見えてきます。途中、少しだけすれ違いが難しい道を通るので、気をつけて運転しましょう。

写真:「穿神社・穿の洞窟」の手描きの案内版

2〜3台駐められそうな駐車場の脇には、「穿神社・穿の洞窟」の手描きの案内版が。矢印の方へと向かうと、道路から渓流へと降りる道の入口が見えてきます。

写真:つづら折りの道

つづら折りになった道を下っていきます。遊歩道がキレイに整備されており、歩きやすい道です。地元の方に大切に愛されている様が感じられます。

写真:穿神社の鳥居

のどかな森の景色を楽しみながら5分程道を下ると、「穿神社」と書かれた鳥居が見えてきました。その奥に流れる渓流の脇に洞窟が見えます。これが「穿の洞窟」。洞窟が神社のご神体として祀られているようです。

写真:洞窟が見える川辺
洞窟が見える川辺まで降りられるようになっています。石段を降りていくと…。
写真:穿の洞窟

渓流の対岸に「穿の洞窟」が現れました。足元を流れるこの川は、一級河川・緑川です。こんな奥地の渓流からあの大きな河川になるというのも感激です。ちなみに、肥後国誌には「緑川の水源はこの穿の洞窟より出る」との記載もあるのだとか。

写真:穿の洞窟

この洞窟は鍾乳洞だそうです。川を渡ることはできないので、対岸からその佇まいを感じます。地元では「うげさん」と呼ばれ大事に守られているそうです。

写真:穿の洞窟の上流の様子

上流の方に目を向けると、美しい渓流の景色にもうっとり。訪問した時はちょうど紅葉の季節でした。この洞窟や、近くにある緑仙峡は紅葉が美しいスポットとしても有名です。例年、11月上旬には紅葉狩りの観光客も訪れるそうです。

写真:穿の洞窟

そして、この洞窟、日向の国(宮崎県)まで通じているという伝説があるそうです。じっと洞窟の奥まで覗いてみます。そう言われると、奥深くまで道が続いているような気がするような…。

写真:穿の洞窟を眺める様子

洞窟の対岸に腰掛け、しばし自然のパワーを全身に浴びてみました。数々の伝説が残り、今も地元の人に大切に愛され守られている、秘境の洞窟。その神秘的な雰囲気に、しっとりと身を浸しました。

スポット情報(2023年11月24日現在)
スポット名 穿神社・穿の洞窟
住所 熊本県上益城郡山都町緑川
電話番号 0967-72-1115(山都町商工観光課)
料金 無料
駐車場 あり
URL 山都町(観光ナビページ)

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中川千代美

長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。

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