くまもとの温泉文化 『家族湯』
熊本県北を中心に点在する「家族湯」。
一体、何のことか分かりますか?
熊本・九州独自と言われている温泉文化を、体験してみてください。
■Keyword!!
・家族湯=貸切り湯
・発祥は山鹿!?
・コインタイマー式が24時間営業を実現!?
・ニーズに合わせた日常型・リゾート型の二極化
・心と心をつなぐコミュニケーションツール
山鹿を中心に伝わる「家族湯」文化
「家族湯」とは、男女別で入る浴室とは異なり、一部屋を貸し切って利用出来る、いわゆる「貸切り湯」のこと。熊本には、この「家族湯」だけで成り立っている施設が多いんです。特に山鹿エリアに集中しており、誕生のキッカケは、「子どもの面倒を見るのに夫婦別々だと大変。気軽に、家族一緒に入ることが出来る温泉が欲しい」という地域の人々の声だったと伝えられています。
当時、旅館には貸切り湯があるも、一般客には敷居が高く、公衆浴場の感覚で気軽に利用出来る家族湯は、家にお風呂がない家庭が多い山鹿地域で暮らす人々にとって、ありがたい存在だったに違いありません。
昭和40年代に、その要望に応えて家族湯専門の施設が誕生します。公衆浴場の『さくら湯』の入浴料10円だった時に一部屋150円と高額だったにも関わらず、待ち時間が出るほどの人気だったそうです。
24時間無人営業を実現したコインタイマー式
さらに家族湯は進化します。杖立温泉で誕生し、小国方面を中心に広がったのが「コインタイマー式」。部屋にボックスがあり、利用料を払うと自動でお湯が出てくるというもの。スタッフがいなくても、何時でも入浴が出来る上、一番風呂が楽しめると人気が高まります。このシステムの素晴らしい点はもうひとつ、利用者が部屋を出る際、お湯を抜き、掃除をしていくということ。「次の人のために」とつながる思いやりの心が、とても温かいのです。
家族湯の二極化。 わざわざ出掛けたいリゾート型家族湯
誕生のキッカケにもあったように、家族湯は日々の生活に寄り添ったものが主流でしたが、平成13年に新たな変化を迎えます。植木(七水木温泉郷)に誕生した家族湯は、まるで旅館のような佇まい。部屋ごとに趣が異なり、脱衣所も広々。湯船は内湯と露天を備えるなど、転地作用も抜群。これがリゾート型家族湯の誕生です。一部屋600~800円が主流だった当時、一部屋1,300円~と料金も高めに設定。その後、三加和温泉や上天草、阿蘇、玉名、人吉などに、リゾート型が次々と誕生し、施設ごとに創意工夫された佇まいが話題になっています。
このように進化を続ける家族湯文化ですが、名前に「家族」と入っている通り、大切な人と一緒に温泉に入ることで、会話が弾み、絆が深まる、「心と心をつなぐ大切なコミュニケーションツール」なんです。
熊本の家族湯文化
■家族湯誕生!?
1967年
山鹿に家族湯施設オープン
1970年頃~
次々、家族湯がオープンする
■コインタイマー式家族湯の誕生
1976年
杖立温泉にコインタイマー式家族湯オープン
1998年
わいた温泉郷にコインタイマー式家族湯オープン
■「リゾート型家族湯」の誕生
2001年
植木に旅館をイメージした家族湯オープン
2004年
上天草にオーシャンビューの家族湯オープン
2007年以降
各地にリゾート型の家族湯がオープン
現在に至る