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パンフレット

旅のおすすめ記事最新トレンドから絶対外せない王道まで!熊本の楽しみ方をご紹介します

南阿蘇村、水汲みの旅

中川千代美

阿蘇エリア 自然 水源 名水
写真:ひしゃくで水を汲む

火山と広大なカルデラを誇る阿蘇地域には、きれいで美味しい水が湧く水源がたくさんあります。中でも南阿蘇村は、11の湧水地による「南阿蘇村湧水群」がある水源の宝庫。有名な観光地「白川水源」をはじめ、水源それぞれに魅力的な景色や歴史があり、「平成の名水百選」にも選定されています。
そこで「南阿蘇村湧水群」の中から、水汲みがしやすくてプラスアルファの魅力もある水源4ヵ所を巡ってみました。水源ごとにミネラル分の成分や硬度、味わいも違うので、飲み比べてみるのも楽しそうです!

・池の川水源
・明神池名水公園
・湧沢津水源
・吉田城御献上汲場

アクセスが便利で水汲みもしやすい、美しい湧水池

池の川水源
写真:池の川水源
まず訪れたのは、南阿蘇村中松にある「池の川水源」。国道325号線から久木野方面へと向かう県道沿いにあり、車でのアクセスがしやすい立地にあります。
写真:池の川水源の駐車場
駐車場も整備されており、10台程度が駐められる広さです。
写真:休憩用の東屋
写真:野菜の無人販売コーナー

サイクリストにうれしいサイクルスタンドや休憩用の東屋、さらに野菜の無人販売コーナーもあります。

写真:岩下神社の外観

駐車場からすぐ、神社と湧水池が見えてきました。水源の敷地内には阿蘇75社のひとつ、「岩下神社」があります。夏と秋には、氏子たちが御神酒を持ちよって水に感謝をする「水祭り」で一晩中語らう風習が続いているそうです。

写真:岩下神社の拝殿横の湧水の池
その拝殿横に見えてきた、美しい湧水の池。
写真:岩下神社の拝殿横の湧水の池

写真では水の存在が分かりづらいほどの透明度。水底でぷくぷくと水が湧き出ている様子もよく見えます。毎分約5トンもの湧水量を誇るそうです。緑と湧水が描き出す美しさに、思わずひきこまれてしまいます。

写真:池の水を汲みに行く様子

さあ、水汲みを楽しみましょう!

池の横にひしゃくも設置されています。拝殿に向かって手前側の池には、水汲みしやすいよう石段が作られているので、大きめのペットボトルでも水汲みしやすく、ありがたいです。

ちなみにこの池の中央に見える2つの岩は「兜岩」とよばれ、水量が多くなりこの岩が見えなくなると雨が多く凶作に、見えている年は豊作になると言われているとか。昔から付近の農業用水としても大事に使われている水源なのですね。

写真:ひしゃくで水を汲む

表示によると、ミネラル分はナトリウム10.5mg、カリウム6.09mg、カルシウム22.9mg、マグネシウム6.86mg(※いずれも1リットル中)。現在でも「うまい水」として、水汲みはもちろん近所の飲料水や生活用水、農業用水として愛されている水質です。

写真:ペットボトルに汲んだ水
暖かい気候の時期にはひんやり冷たい湧水。家でコーヒーやお茶などを淹れるのが楽しみです!
スポット情報(2023年6月9日現在)
スポット名 池の川水源
所在地 熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字中松
問い合わせ 南阿蘇村産業観光課 TEL 0967-67-1111
駐車場 あり

絵画の様な美しさの湧水池にうっとり

明神池名水公園
写真:明神池名水公園
次に訪れたのは、南阿蘇村のほぼ中央に位置する「明神池名水公園」です。
写真:群塚神社の鳥居

こちらの湧水池は、群塚神社の境内にあります。乳の出がよくなるとのいわれが残っており、女性が参拝する信仰が残る神社です。西南の役の際に、会津藩家老佐川官兵衛が作戦会議を行って湧水で身を清め、必勝を祈願したという歴史も残っています。

写真:明神池名水公園の遊歩道
30台ほどが駐められる広い駐車場から、遊歩道を少し歩いて湧水池へ。ゆったり散策気分で歩くと……。
写真:湧水池・明神池
美しい湧水池・明神池につきました。なんとも神秘的なこの景色!
写真:湧水池・明神池
鯉の泳ぐ姿から水底までくっきり見えて、とにかく美しい。
写真:湧水池・明神池
透明度が高すぎて、金色の鯉が空中に浮いているかのような姿も…! 絵画のような景色です。
写真:水を汲んでいる様子
池のあちこちから毎分2トンの水が湧いているこの池。飲み水の汲み場は、鯉がいる池とは分かれています。通路から水面までの距離が近くて汲みやすいです。
写真:ひしゃくとじょうご
湧水池の横には、ひしゃくやじょうごが備えられているのもありがたい限り。
写真:水をひしゃくで汲んでいる様子

こちらの池も、もちろん驚くほどの透明度。神社に産神様がまつられていることから、この池の水を飲むと安産になるという言い伝えがあるそうです。表示によると、ミネラル分は、ナトリウム10.7mg、カリウム6.27mg、カルシウム27.7mg、マグネシウム 7.62mg(※いずれも1リットル中)。軟水ではありますが硬度が少し高めなのだとか。
 

写真:河童の池
敷地内には、「明神池河童伝説」の逸話が残る「河童の池」や、水遊びができるよう整備されたエリアもあります。おいしい水も景色ものんびり楽しめるスポットです。

                                                                                                                                                                                              

スポット情報(2023年6月9日現在)
スポット名 明神池名水公園
所在地 熊本県南阿蘇村大字吉田
問い合わせ 南阿蘇村産業観光課 TEL 0967-67-1111
駐車場 あり

村の日常生活に溶け込み、地域を潤す小さな水源

湧沢津水源(わきさわつすいげん)
写真:湧沢津水源
少し細い道に入り込んだ場所にある「湧沢津水源」。のどかな田園や住宅が並ぶエリアにあり、南阿蘇村の暮らしの中に息づく水源といった趣です。
写真:湧沢津水源の駐車場と東屋
車3台ほどが駐められる駐車場が整備されており、アクセスは難しくありません。道を挟んで、水汲み場と東屋があります。
写真:湧沢津水源の水汲み場

水汲み場の方を見ると、石畳でキレイに整備されています。この水汲みのしやすさも魅力的です。
写真:湧沢津水源の水汲み場
写真:湧沢津水源の水汲み場

奥の池を覗いてみると、水が湧き出る様子も見えます。そして、そんなに大きな池ではないのに、水が轟々と流れ出ているのが分かります。「清泉が地中から突き上がるように出ている」というのが、湧沢津の名前の由来だとか。毎分約5トンの湧水量で、近所の民家へも給水されているほか、周辺10町歩の水田も潤しています。

写真:水を汲む様子
こちらにもひしゃくが準備されています。さあ、水を汲みましょう。水面まで近く、とにかく汲みやすい!
写真:ひしゃくで水を汲む様子
水の透明感と清らかな流れを肌で感じながら、水汲み。こちらの水源の水は「村内一のやわらかさ」と言われているそうです。口当たりのやわらかさを、感じてみたいところです。
写真:水を汲んだボトル

表示によると、ミネラル分はナトリウム11.1mg、カリウム7.89mg、カルシウム21.8mg、マグネシウム6.63mg(※いずれも1リットル中)。ひんやり美しく、やわらかい水です。

写真:湧沢津水源の東屋
道向かいの東屋には、水に触れられるスポットも。夏などは気持ちがよさそうですね。
写真:湧沢津水源付近の水田
水汲みに訪れたのは、田植え直前の時期。湧水が田んぼになみなみと注がれていました。この水で育つお米、きっと美味しいですね!
スポット情報(2023年6月9日現在)
スポット名 湧沢津水源
所在地 熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字中松759
問い合わせ 南阿蘇村産業観光課 TEL 0967-67-1111
駐車場 あり

かつてお殿様も口にした!? 珍しい硬水の水源

吉田城御献上汲場
写真:吉田城御献上汲場

こちらも、田園の中にある小さな湧水池「吉田城御献上汲場」。こぢんまりとしていますが、近くにある「吉田城跡」に連なる歴史豊かな水源です。
写真:吉田城御献上汲場の駐車場
水源から少し上ったところに、10台ほど駐められる広い駐車場が整備されているので、車でアクセスしやすい立地です。
写真:吉田城御献上汲場付近の水田
駐車場から見える、美しい水田の景色。ちょうど田植えの時期だったので、水の美しさを景色からも感じることができました。
写真:吉田城御献上汲場

坂を下り、湧水池へ。水汲みがしやすいよう石畳の段が整備されています。こちらは、かつて旧白水村のほぼ中央に位置していた吉田城のご献上汲場として知られている水源。当時、繁栄を極めていた吉田城の使用水を一手に引き受けていたのだそう。

写真:水が湧き出る様子
池の水深は浅めで、水がボコボコと湧き出る様がよく見えます。とにかく透明で、やはり写真に水が写りません…!
写真:水田への水路
湧水量は毎分約5トン。水田の方の水路へも、ものすごい勢いで水が流れていきます。約15戸の民家でも、飲料水としてこの水を使用しているのだそうです。
写真:ひしゃくとじょうご
こちらにも、ひしゃく・じょうごの準備がありました、ありがたい!
写真:水を汲む様子
汲み場の使いやすさもありがたい限りです。
写真:ひしゃくで水を汲む様子
こちらの水の特徴が、一帯では珍しい硬水(硬度1リットル110mg)であること。他の水源や、日本の一般的な水は軟水なので、また違ったおいしさを楽しめる水です。
写真:ひしゃくで水を汲む様子

表示によると、ミネラル分はナトリウム12.4mg、カリウム5.88mg、カルシウム43.0mg、マグネシウム9.57mg(※いずれも1リットル中)。これまで巡った他の水源よりも、ミネラル分も多めです。さらに、六甲の水などにも含まれる「ハロイサイト」という鉱物も、この水質に影響しているのだそうです。

写真:水田への水路
美しい南阿蘇村の景色と、そこに湧水がせせらぐ音に耳を澄ませているだけでも、心が洗われるようでした。他にもまだまだ、たくさんの湧水地がある南阿蘇村。清らかで美味しい水を巡って飲み比べる旅、ぜひ楽しんでみては?

                                                                                                                                                                                              

スポット情報(2023年6月9日現在)
スポット名 吉田城御献上汲場
所在地 熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字吉田1335
問い合わせ 南阿蘇村産業観光課 TEL 0967-67-1111
駐車場 あり

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中川千代美

長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。

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