「奇跡の一本石垣」の今はどう?熊本城の最新・復旧状況をお知らせします!

慶長12年(1607年)に築城の名手として知られる初代熊本藩主・加藤清正によって建てられた熊本城。2016年に発生した熊本地震で天守閣や櫓、石垣などが大きな被害を受けましたが、2052年度の完全復旧に向けて日々復旧が進められています。
これまで、当サイトではその復旧の過程を段階的にお伝えしてきました。前回2021年10月の記事では、「熊本城特別公開第3弾」として始まった天守閣内部の展示の様子を紹介しましたが、約5年の歳月を経た2026年1月現在、復旧はどこまで進んでいるのでしょうか。
「熊本城総合事務所」の課長・上村さんに案内していただきながら、熊本城の今をお伝えします。
※2026年1月15日現在の情報です。最新の情報は熊本城公式ホームページをご確認ください<
目次
「奇跡の一本石垣」として注目を集めた飯田丸五階櫓の櫓部分の復旧工事がスタート!

桜の馬場城彩苑から南口券売所に続く行幸坂を進むと、右手に復旧途中の飯田丸五階櫓が現れます。飯田丸は、本丸の南西を防衛する重要な拠点。地震により、南面と東面の約500石の石垣が崩落しましたが、4年弱にわたる解体・積み直し作業を経て、2024年に石垣部分の復旧が完了しました。今年度からは櫓部分の復旧工事がスタートしています。

飯田丸の石垣復旧にあたり、全国初の試みとして「受圧板」246個を設置。写真をよく見ると分かりますが、石垣の間に点在する円形の石板がこの受圧板です。耐震補強のため取り付けられました。

震災直後の飯田丸五階櫓の様子。角の石垣12個のみで建物を支えていたため「奇跡の一本石垣」と呼ばれ注目を集めました。2028年度の完全復旧を目指し、建物の工事が進められています。
田子櫓をはじめとした重要文化財5棟が解体を終え、復旧スタート。特別見学通路から復旧の全貌を見学!

続いて、南口券売所を通り、2021年に設置された「特別見学通路」へと向かいます。二様の石垣や本丸御殿、天守閣などを地上約6mの高さから一望できる特別見学通路は2042年度までの期間限定です。ここで注目いただきたいのは国指定重要文化財建造物である田子櫓、七間櫓、十四間櫓、四間櫓、源之進櫓です。

写真は東竹の丸に位置する田子櫓、七間櫓、十四間櫓、四間櫓、源之進櫓を熊本市役所方面から撮影した様子です。これらの櫓は、地震により柱が傾き、壁に亀裂が入るなどの被害があり、特に田子櫓と七間櫓は建物全体が大きく変形しました。前述の5棟は2025年に予定していた範囲の解体保存・撤去工事が完了し、復旧の工程に移行しています。

特別見学通路から見える、復旧の様子。取り外した瓦は形状や年代で選別し、ひびがないかを一枚ずつ丁寧に確認し、破損した木材には繕い(補修)を行うとのこと。できるだけ元の部材を利用しつつ、補完する材料は元のものと同じ品種・品質のものが採用されています。

漆喰(しっくい)を塗る工程を見ることができます。漆喰を作る場所も通路のすぐそばにあり、海藻を煮炊きした際の煙が立ち昇っていました。

櫓の壁土は、土にわらスサを練り混ぜたものを一年以上寝かせ(発酵して)作ります。シートで覆われていますがこの様子も通路から見ることができます。時期により、発酵臭が漂うこともあるのだそう。

通路から望む、二様の石垣、本丸御殿と天守閣。煌びやかな障壁画が見どころの本丸御殿大広間の内部には残念ながらまだ入ることはできませんが、2032年度の完全復旧を目指し設計が進められています。
築城当時の姿を残す重要文化財・宇土櫓も解体完了!調査・設計がスタート

本丸西北側にある宇土櫓は、築城当時の姿を保っていた唯一の多重櫓。天守閣に匹敵する規模と構造(3重5階地下1階)のため、「第三の天守」とも呼ばれています。地震により南側の続櫓が倒壊する被害や、屋根・外壁・建具の破損がありましたが、2025年に解体保存工事が完了。2026年3月から調査・設計が始まります。今年度末から続櫓下の石垣積み直し工事を経て、2028年度から櫓の復旧工事がスタートし、2032年度に復旧を終える見込みです。

二の丸公園から望む、解体中の宇土櫓と大小天守閣。現在は、宇土櫓を囲む壁面に地震前の櫓の姿が映し出されています。熊本城を象徴するこの3棟の並びを再び見ることができる日が待ち遠しいですね。

最後に、天守閣の内部を通り、最上階(6階)の展望フロアへ。ここからは復旧が進む熊本城の様子はもちろん、城下町・熊本の街並みや、阿蘇山・金峰山などの山容を望むことができます。スマートフォンアプリのAR機能を使うと、明治時代の古写真(最上階からの眺め)を現代の景色に重ねて眺望を楽しむこともできます。
※1階〜4階の天守閣内部の展示フロアについては、下記の記事で詳しく紹介しています。
復興のシンボル天守閣が遂に完成! 歴史とテクノロジーの融合する空間を体感しよう

石門北側の平櫓は2025年に石垣の積み直しが完了。現在は復旧設計が行われています。
特別公開第3弾が始まった2021年から、日進月歩、着実に復旧が進められている熊本城。天守閣の復旧は終わったものの、熊本城の「地震からの復興」はまだまだ続いています。完全復旧は26年後の2052年度と先ですが、今だからこそ知れる復旧・築城の面白さをぜひ体験してみてください。
| 問い合わせ先 | 熊本城運営センター |
|---|---|
| 電話番号 | 096-223-5011 |
| 営業時間 | 9:00~17:00 |
| 問い合わせ先 | (2025年12月26日現在) |
|---|---|
| 電話番号 | 096-352-5900 |
| 営業時間 | 8:30〜17:15 (土曜日・日曜日・祝日を除く) |
菅原海人
東京と静岡での出版社勤務を経て、2022年秋から故郷・熊本で編集者兼ライターとして活動。
観光・グルメ情報や移住情報サイトの記事などを手がけるほか、首都圏の企業等のオウンドメディアの制作も行う。





