「鉄印」をめぐる旅。その2・『くま川鉄道』編

熊本には魅力的なローカル鉄道が複数あります。ローカル鉄道にのんびり揺られるお出かけも楽しいもの。そんな「鉄旅」をより楽しくするために、鉄印帳を手に、御朱印ならぬ「鉄印」を集めて回るのはいかがでしょうか? 各鉄道会社とも個性的な「鉄印」を発行しています。今回はくま川鉄道の鉄印をめぐる旅をご紹介します。
★第一弾の記事はコチラをチェック↓↓
「鉄印」をめぐる旅。その1・『南阿蘇鉄道』
目次
そもそも、「鉄印」「鉄印帳」とは?
鉄印をめぐる旅のスタート前に、鉄印が何かをご紹介します。
「鉄印」は、2020年に地方鉄道の沿線地域の振興を目的に登場した「御朱印の鉄道版」です。
鉄印帳を購入し(第三セクター鉄道等協議会に加盟している鉄道会社などで購入可)、各社指定の窓口で、乗車券の提示と記帳料を支払うことでその鉄道会社の鉄印をゲットできます。
鉄印帳の記帳面には全国40社の鉄道会社名が各ページに記されているので、旅のお供として、スタンプラリー感覚で集めていくのも楽しそうです。
ちなみに熊本県は、今回訪問するくま川鉄道をはじめ、南阿蘇鉄道、肥薩おれんじ鉄道の3社でゲットできますよ!
種類豊富! 「くま川鉄道」の鉄印をゲットして復興支援に
くま川鉄道 人吉温泉駅
「くま川鉄道」の鉄印は、人吉市にある「人吉温泉駅」、およびあさぎり町にある「あさぎり駅」でゲットできます。
JR人吉駅の隣にあるこちらの建物が、「人吉温泉駅」窓口です。令和2年7月豪雨被災の影響でJR肥薩線は運航休止中、また「くま川鉄道」も部分運行中で人吉温泉駅-肥後西村駅間は不通のため、人吉駅・人吉温泉駅両駅には列車がこない状態(2025年12月時点・「くま川鉄道」は肥後西村駅への接続バスの発着あり)。
それでも両駅は、人吉・球磨エリア観光の拠点の1つとしての役割を果たし続けています。
そんな「くま川鉄道」人吉温泉駅で購入できる鉄印は、その種類の多さが魅力です。
右上は『青井阿蘇神社』の龍の彫刻をデザインし、地元出身の書家・左近渓雪さんの書をあしらった初代鉄印、右下は湯前線100周年記念、そして左の2枚は、なんと同鉄道の永江社長が1枚1枚手書きしたシリーズです。
さらに、国内のさまざまなローカル鉄道会社とのコラボ鉄印があるのも、「くま川鉄道」の魅力! 左は「天竜浜名湖鉄道」(静岡県)、右は「錦川鉄道」(山口県)との「川」つながりのコラボ鉄印です。いずれも「くま川鉄道」復興の力になればとコラボが企画されたもの。(いずれも枚数限定あり)
同社の企画営業課・下林さんは「国内のローカル鉄道との絆を感じられてうれしく思います」。コラボ鉄印誕生にまつわるストーリーなどは同社のYouTubeチャンネル「くま鉄チャンネル 【公式】」で、永江社長、下林さん自ら出演し楽しく紹介しているので、予習をして行くとまた楽しみが増えそうです!
また、同社でもスマホ上で鉄印を集められる「デジタル鉄印(外部リンク)」も展開されています。
こちらのサイトで駅舎に掲示されている二次元コードを読み込むと、鉄印のNFT(※)を購入可能です。「鉄印帳を忘れた!」となりがちな方や、コンパクトに鉄印を楽しみたい方はこちらもおすすめです。
(※)「Non-Fungible Token」の略。いわゆる「世界で一つだけのデジタルデータ」
豪雨によって流されてしまった「球磨川第四橋梁」の復旧工事も進んでいます。
「くま川鉄道」は、2026年度上半期中の全線開通を目指しています(2025年12月現在の情報)。旅することが、応援にもつながるはず。人吉・球磨地域や「くま川鉄道」復興への思いもこめて、ぜひ同社の鉄印をゲットし鉄旅を楽しんではいかがでしょうか?
| スポット名 | 人吉温泉駅 |
|---|---|
| 住所 | 人吉市中青井町265 |
| 電話番号 | 0966-23-5011(「くま川鉄道」代表) |
| 駐車場 | あり |
| 関連サイト | くま川鉄道株式会社(外部リンク) |
鉄道に揺られて、のどかな人吉盆地を走る
「田園シンフォニー」
さて、鉄印を手に入れたら、次は楽しい鉄旅です。
「くま川鉄道」は人吉市の「人吉温泉駅」から湯前町の「湯前駅」まで24.8キロメートルを結ぶローカル鉄道。その内「人吉温泉駅」-「肥後西村駅」間の9.1キロメートルは代替バス区間です(2025年12月現在)。
また、平日は早朝と夕方のみの運行なので、鉄旅で観光を楽しみたい場合は週末を目指していくと良いでしょう(2025年12月現在)。
人吉・球磨地域にモデル地が多数存在するアニメ「夏目友人帳」とコラボした1日乗車券で鉄旅を楽しみます。(限定枚数あり)
人吉温泉駅-肥後西村駅までの代替バスを降り、鉄道に乗車です! ちなみに接続バスは日曜・祝日は運行されていないので、ご注意を。
同社で運行しているのは「田園シンフォニー」。工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が手掛けた観光列車仕様の列車です。ベートーベンの「田園」にちなみ、ト音記号や音楽にまつわるデザインが多くあしらわれています。
現在は一般列車として運行していますが、全線開通後は観光のお客様も楽しめる「鉄旅」が期待できそう。
列車のレトロなデザインを十分に堪能していると、いよいよ発車の時刻です。
終着駅の「湯前駅」に到着。片道1時間弱の鉄旅でした。
区間はほとんど平地で傾斜もなく、ゆりかごに揺られるような心地で楽しめるのどかな鉄旅。人吉球磨の豊かな自然と田園の魅力を、鉄道を通してじっくり堪能できました。
| スポット名 | くま川鉄道「田園シンフォニー」 |
|---|---|
| 電話番号 | 0966-23-5011(「くま川鉄道」代表) |
| 関連サイト | くま川鉄道株式会社(外部リンク) |
| 備考 | 人吉温泉駅-肥後西村駅間の接続バスは平日および土曜日の運行 (日曜日・祝日は運行していません) くま川鉄道路線は、平日は早朝・夕方の便のみの運行です。 土曜日・日曜日、祝日は日中の運行もあり。 ※いずれも2025年12月現在の情報 |
あの「SL人吉」の勇姿を間近で観覧できる!
人吉駅前広場駐車場「SL人吉」展示
「くま川鉄道」の始発・終着駅周辺にも、鉄旅で立ち寄りたいスポットが豊富です。そのうちの1つが、「人吉温泉駅」が隣接する人吉駅前広場駐車場に展示されている「SL人吉」です。
観光列車として長く活躍し2024年3月に引退した「SL人吉」が、この場所で屋外展示されているため、いつでもその勇姿を近くで楽しむことができます。

この「SL人吉」、実際に線路上を動いて汽笛や黒煙も楽しめる「動態展示」もスタートしています。月に1回程度の頻度で動かす予定だそうなので、人吉市のホームページでスケジュールをチェックしてみてくださいね。
「SL人吉」のすぐ近くには、「人吉鉄道ミュージアムMOZOCAステーション868」や明治44年(1911年)建築の「人吉機関車庫」など、鉄旅をより楽しく彩ってくれるスポットも!
| スポット名 | 人吉駅前広場駐車場 SL人吉展示 |
|---|---|
| 住所 | 人吉市中青井町326-3 人吉駅前駐車場広場内 |
| 電話番号 | 人吉市 交通政策課 TEL 0966-22-2111 |
| 駐車場 | あり |
| 関連サイト | 人吉市役所(外部リンク) |
終着駅隣接の広場が、全線開通に向けてリニューアル
湯前駅レールウイング(ユノカフェ・湯前まんが図書館)
「くま川鉄道」の終着駅「湯前(ゆのまえ)駅」には、「湯前駅レールウイング」という複合施設が隣接しています。
2026年度上半期予定の「くま川鉄道」全線復興に向けて、この施設が2025年11月にリニューアルしました。
駅に到着する列車も見える広場は、かつてはウッドデッキでしたが、タイル貼り・屋根付きにリニューアル。奥には多目的トイレや会議室も新設。各種イベントにも対応できるスペースとなったため、今後さまざまな楽しい催しが開催される場となりそうです。
そして、敷地内にはゆったり過ごしたくなるスポットが2軒入っています。
一つ目は「ユノカフェ」。地域活性化を目指して2017年にオープンしたカフェです。地元民憩いの場として、そして週末は観光客が目指して訪れる目的地として、多くの人に愛され続けているお店です。
湯前町をはじめ人吉球磨地域の食材をふんだんに使った軽食やランチ、スイーツを楽しめるこちらのカフェ。1人でもグループでもそれぞれ居場所があって、居心地良い雰囲気です。
| スポット名 | ユノカフェ |
|---|---|
| 住所 | 球磨郡湯前町1822-4 |
| 電話番号 | 0966-43-4888 |
| 営業時間 | 10:00~16:00(OS15:30) |
| 定休日 | 火曜日・木曜日 |
| 駐車場 | あり |
| 関連サイト | ユノカフェ(Instagram) |
そしてもう1箇所が、「湯前まんが図書館」です。
湯前町は風刺漫画家・那須良輔(なすりょうすけ)さんの出身地である縁から、町ぐるみでの漫画文化の発信が活発です。その1つがこちらの施設。
中には約4,500冊のマンガ本がそろっており、無料で利用可能。時間制限などもないので、ゆったり腰を据えて読むことができます。貸出はないので、ご注意を。
持ち出し表を提出すれば、館内のほか、テラスや「ユノカフェ」での閲覧もOKです。熊本県出身漫画家の作品を集めた書架もあるので、熊本が誇る漫画文化をじっくり楽しめますよ。
徒歩圏内には物産館や「湯前まんが美術館」があるほか、キャンプ場なども近く、奥球磨エリアの観光拠点としても利用できそうな「湯前駅レールウイング」の施設。
鉄道に乗るだけでなく、その駅周りや沿線もじっくり楽しめるのが、鉄旅の醍醐味。人吉球磨ののどかな空気に包まれて、穏やかな旅を満喫できました。
| スポット名 | 湯前まんが図書館 |
|---|---|
| 住所 | 球磨郡湯前町1822-4 |
| 電話番号 | 0966-43-4888 |
| 営業時間 | 9:00~17:00 |
| 定休日 | 年末年始(12月29日~1月3日) |
| 入館料 | 無料 |
| 駐車場 | あり |
| 関連サイト | 湯前まんが図書館(Instagram) |
中川千代美
長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。
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