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パンフレット

旅のおすすめ記事最新トレンドから絶対外せない王道まで!熊本の楽しみ方をご紹介します

時代を越えても「カワイイ」!熊本の伝統工芸品「肥後てまり」

写真:「肥後てまり」

肥後象がんや来民うちわ、山鹿灯篭など、数多くの工芸品が、今日まで受け継がれてきました。30年以上前に熊本県が伝統的工芸品に指定した品目は、現在70品目117人・団体(2023年3月末現在)。その技術力の高さはもちろんですが、中でも、その存在自体が愛らしく、一つ二つと飾っておきたくなるものもあります。
今回は、その中の一つ“肥後てまり”をご紹介します。

 

無数にあるデザイン、カラフルさも魅力な「肥後てまり」

肥後てまり同好会
写真:肥後てまりを手に持つ鶴田美知子さん

「あんたがったどこさ、肥後さ、肥後どこさ…」のてまり歌で用いられたと言い伝えられる“肥後てまり”。色鮮やかで美しく、無数にあるデザインの魅力や、時代によって変化する伝統工芸品のこれからについて、「肥後てまり同好会」の鶴田美知子さんにお話を伺いました。

鶴田さんは、「肥後てまり同好会」の代表を務められ、制作歴はなんと45年以上! そのかわいらしさに惹かれ「作ってみたいな」と思っていたところ、テレビで特集されていた肥後てまり作家の後藤照さんのことを知り、教室に通いはじめたそうです。

写真:てまりの芯はヘチマだそう

肥後てまりは、芯にヘチマを使用します。作り方は、水に浸してやわらかくなったヘチマを、適度な大きさにカットし糸で巻いて乾かしたあと綿で包み、さらに白糸で綿が見えなくなるまで巻くと、まずは土台の完成です。この作業がとても大切だとのこと。

写真:サイズの違うてまりの芯

その後、模様の目印となる基礎線を寸法を測りながら入れます。これもまた、仕上がりに影響するため、気を抜けない作業です。

写真:てまりで使用する刺しゅう糸

土台ができたら、続いて行うのは色合わせ。使用するのは光沢のあるフランス25番刺繍糸。色の種類が無数にあるため、どう仕上げたいのかデザインを考え、色を選び、かがっていきます。

※かがるとは、てまりの刺し方のことを言います。

写真:ケースの中に入っている小さく小分けされた刺しゅう糸
すぐに使いやすいように、小分けされた刺繍糸
写真:一針一針、丁寧に作業をされている様子

一針一針、丁寧にかがっていく細かな作業です。鶴田さんでも、模様や大きさによって1つ仕上げるのに1ヶ月以上かかるものもあるそうです。「私の場合は、1個のてまりにわざと数種類の色糸を使って楽しんでいます」と鶴田さん。さらに、設計図がないため、作業途中のものをとっておき、細かく確認しながら作業を進めるそうです。

写真:様々なデザインのてまりが保管されている

肥後六花やアジサイ、バラ、重ね菊、中央すかしなど、基本的な模様はありつつも、使用する刺繍糸の色合いによっても仕上がりは異なり、鶴田さんが生み出したオリジナルも。鶴田さんのご自宅には、はじめて作った45年以上前のものをはじめ、さまざまな種類の肥後てまりが保管されています。

写真:小さな肥後てまり

「何種類というのは言えないほど、無数にデザインがあるのも肥後てまりの魅力。しっかりとした技術を習得したら、デザインは柔軟に。全国に伝わるてまりを参考にアレンジを加える場合もあります」。

「それに、時代によって変化していくことも大事だと思っているので、アニメの主人公の和柄を再現したり、サッカーボールを作ってみたり…、サイズも小さいものから大きなものまで、楽しみながら作っています」。作業に集中したらあっという間に1日が過ぎていることもあるほど、夢中になる肥後てまりの世界。それが45年以上も続いているというから驚きです。

江戸時代から今日まで、作り受け継がれてきた「肥後てまり」

写真:1977年に撮影された師匠の後藤さんとの1枚

全国に受け継がれているてまりは、うまく転がるなどの意味をかけ、子どもの無事の成長を願い、厄除けとして作られてきました。お雛様の際に飾るのはその理由からと言い伝えられています。

「私の師匠の後藤先生は、長年、肥後てまりの保存・普及に尽力されてきた方で、隣保に住まれていた肥後てまりの偉大な作者といわれる浅利ためさんより受け継ぎ、昭和42年、長年廃絶していた肥後てまりを復活させたと聞いています」と鶴田さん。上の写真は、1977年に撮影された師匠の後藤照さん(左)と鶴田さんです。

写真:いろんなサイズ、柄の肥後てまり

「肥後てまりは、設計図などが特になく、江戸時代から女性の間で、作りながら受け継がれてきたもの。私も先生の手元を見て学びました」。実際、資料なども残っておらず、鶴田さんは後世に受け継ぐため、後藤さんから学んだ際に作ったものを大事に保管し、さらに、歴史を伝えるため、これまで紹介された記事などをスクラップしていると話します。

写真:最初に作った肥後てまり

最初に作った“麻の葉”の肥後てまり。これを作りたいと思い、教室に通うようになったと鶴田さんは話します。はじめは気軽な手習いのつもりで教室に通っていたところ、いつしかアシスタントとして後藤さんの手伝いをするようになり、熊本市や公民館からの依頼で自身の教室を持つことに。「若いから頼みやすかったみたいで、私は会社に勤めていたので有休をとりながら活動をしていましたね」と当時を振り返ります。

写真:肥後てまりを制作している様子

45年以上、肥後てまりに携わり続ける鶴田さんですが、その理由は「好きになっちゃったから」とひと言。生活の一部以上の存在になった肥後てまりに出会えたことを、「きっと、幸せなんだろうな。これからは、次に残していくように、好きな肥後てまりを作り続けられたらいいですね」と話します。

未来に受け継ぐため…気軽に楽しめる体験も実施

「肥後てまりの文化・技術を残したい。いいものを残したい」と鶴田さん。「販売よりも、体験などを通して未来に受け継ぎたい」と、多くの人たちに肥後てまりを知ってもらえるように活動を続けています。

写真:体験で使用する肥後てまり
体験ではその日に仕上げてもらうため、途中まで作ったものを用意
写真:一番太い刺しゅう糸で制作

「大事なのは、完成した!という達成感。体験では、仕上げやすいように途中まで作ったものを用意したり、太い5番刺繍糸を使ったりとさまざまな工夫をしています。海外の方の参加も多く、喜ばれていますよ」。

川尻にある『くまもと工芸会館』では、月1回ほど体験を実施。ホームページで開催日時が公開されるので、ぜひチェックして。
 

くまもと工芸会館ホームページ(外部リンク)

写真:イベントでの様子
2023年11月3日〜5日に開催された「第15回肥後つりてまり」の様子(写真提供/下通繁栄会)
写真:商店街では3,679個の肥後てまりが展示されていた
下通アーケードに3,679個の肥後てまりが展示されました(写真提供/下通繁栄会)
スポット情報(2024年6月28日現在)
スポット名 肥後てまり同好会
「熊本県伝統工芸館」
電話番号 096-324-4930
営業時間 9:30〜17:30
備考 肥後てまり同好会へのお問合せは「熊本県伝統工芸館」まで

今村ゆきこ

熊本生まれ、熊本育ち。地元タウン誌「タンクマ・モコス」を経て独立。熊本愛強めのライター&エディター。熊本第一号の温泉ソムリエ&温泉ソムリエアンバサダーとして「くまもっと湯美人」を監修するなど、温泉愛もかなり強め。コロナ禍でソロキャンプの魅力に気づき、休日には愛犬と「温泉+キャンプ」を楽しむ日々を送る。

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