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パンフレット

旅のおすすめ記事最新トレンドから絶対外せない王道まで!熊本の楽しみ方をご紹介します

ますます注目が高まる人吉球磨の日本遺産を巡る

今村ゆきこ

県南エリア 温泉 神社 有形文化財
写真:青井阿蘇神社

熊本で最初に日本遺産に登録された人吉球磨地域。受け継がれる相良700年の歴史、地域遺産、信仰心、そして暮らしと文化。地域の宝は、訪れる人に感動を与えます。令和2年に襲った水害に傷つきながらも、困難を乗り越え力強く前進できたことも、この強い信仰心が後押ししたとも言われています。11月にオープンを控える「青井阿蘇神社・青井の杜国宝記念館」は、まさに信仰と復興のシンボル。地域に残るストーリーを巡り、人吉球磨の魅力を再発見してみませんか。

・青井阿蘇神社・青井の杜国宝記念館
・城泉寺(浄心寺)・八勝寺
・人吉温泉 堤温泉

保守と進取の文化。 「青井さん」で感じる、その意味

青井阿蘇神社・青井の杜国宝記念館
写真:青井の杜国宝記念館の外観
青井の杜国宝記念館

 地域の人たちに「青井さん」の愛称で親しまれている「青井阿蘇神社」。県内初の国宝に指定されたのは2008年のことです。独自の地域性に当時の流行も取り入れた技法が注目されている社殿群は、建設から400年を超えた今も私たちを圧倒的な存在感で迎えてくれます。

写真:青井阿蘇神社
青井阿蘇神社

国宝指定10年を記念して計画が進められていた国宝記念館ですが、いよいよ建設スタートというタイミングで水害に襲われてしまい、計画は一旦ストップ。「浸水した境内は復旧に追われ、記念館どころではなかった」と宮司の福川義文さんは話します。2023年11月にオープンを控えている「青井の杜国宝記念館」。計画段階から合わせると実に7年もの歳月がかかったのです。

写真:宮司の福川義文さん
記念館を手掛けたのは、日本を代表する建築家・隈研吾氏。「隈さんとの出会いは、人吉球磨が日本遺産の初年度に登録された際、アドバイザーとして人吉を訪れていただいた時です。神社のことのみならず人吉球磨のことを考えていただく方にお願いしたいとのことから、ご相談してみると快く受けていただきました。ただ…ご依頼させていただいた際、失礼ながら、『隈さんの華やかな作風のみではなく、国宝の社殿群をより輝かせてくれるものをお願いしたいです』とお伝えしました」。
写真:青井阿蘇神社の社殿群
この言葉には、こんな意味があったと言います。
「人吉球磨が日本遺産に選ばれたのには相良700年の歴史、そして保守と進取という考えがあります。古いものに新しい風を吹き込むことで、双方が進化していく。記念館が新しい風を吹き込む進取に、青井阿蘇神社の社殿群が保守として、互いにこの場所で進化していくことが、記念館を建てる意味だと感じていました」。
写真:茅葺をイメージした屋根
写真:記念館の内部

完成したのは木造2階建て。神社の茅葺をイメージした屋根は、角度によって見え方が異なり、建物は全体の9割に木材が使用されています。

「人吉球磨は、山々に囲まれた木材の産地。良質な木材が多く、市房千年杉を使用するなど、多くの地元産木材を使用しています。その他にも屋久杉や宮崎県の狭野(さの)杉なども使用しているので、まるで木の美術館のようです。経年していく様子も、ぜひお楽しみください」。

写真:

軒下に使用している狭野(さの)杉は、主祭神に神武天皇を祀る狭野神社参道にあったもので、この杉は薩摩藩主・島津義弘の命により約400年前に植えたと言われています。青井阿蘇神社の御祭神は、神武天皇の孫にあたる健磐龍命、そしてその妃の阿蘇津媛姫命、その実子の國造速甕玉命。

「社殿が完成したほぼ同時期に植えられ、神武天皇を祀る神社ゆかりの杉。孫に会いに来てくれた…と感じました」。一つひとつに意味があり生まれた記念館なのです。

写真:1階の展示室

1階は日本遺産ゆかりの展示スペースとして、2階には刀などの神社の宝物類を展示予定。

「人が行き交うことで、建物は味を増していきます。人吉球磨、青井阿蘇神社を知る場所として、さらにここを舞台にさまざまな方々に活躍していただきたいと考えています」。

この記事だけでは語り尽くせない記念館に込めた想い。ぜひ、体感してください。

スポット情報(2023年10月13日現在)
スポット名 青井阿蘇神社・青井の杜国宝記念館
電話番号 0966-22-2274
所在地 人吉市上青井町118
URL 青井阿蘇神社サイト(外部リンク)

人々の手で守られてきた、熊本県内最古の木造建築

城泉寺(浄心寺)・八勝寺
写真:城泉寺

文化庁が日本遺産に認定した人吉球磨地域。「相良700年」「仏教美術」「暮らしと文化」のカテゴリーに分けられ、59の日本遺産構成文化財が認定されました。隠れ里に受け継がれた信仰心は、神社・仏閣・仏像などを多く現代に残し、私たちに悠久のときを越えて感動を与えてくれます。ぜひ、人吉温泉を拠点に、ゆっくりと巡ってみてはいかがでしょう?

写真:城泉寺の軒

ここでは、湯前町に残る県内最古の木造建築をご紹介します。鎌倉時代初期に創建されたと言われる「城泉寺(浄心寺)」です。

写真:木造阿弥陀如来像

寄棟造・茅葺き屋根、総円柱の柱も圧巻。鎌倉時代前期に造られた「木造阿弥陀如来・両脇侍」もまた、重要文化財に指定されています。

写真:管理人・柳瀬さん(写真右)

城泉寺(浄心寺)の管理人・柳瀬さん(写真右)は、ほぼ毎日、朝と夕に寺を訪れることを欠かしません。「管理のお手伝いをするようになったのは20年ほど前から。昔は、農繁期には子どもたちはここに集まって遊んでいたりと、今でいう公民館や児童館のような場所だったんです」。寺や仏様は特別な存在ながら、人々の身近な存在として信仰されていきました。


月1回の清掃は地区のみんなで行い、彼岸の頃は、参拝に訪れる人たちを地区の人々が迎える。そんな風習が残るのは、人吉球磨に残る信仰心があるからこそ。

写真:九重石塔
写真:九重石塔

「国指定文化財の九重石塔・七重石塔には、各層に阿弥陀仏が彫り出されています。近くで見学ができるので、その目で認かめてみてください」と湯前町教育委員会・学芸員の松村さん。「城泉寺(浄心寺)は昭和30年代に保存修理を実施しています。また、屋根の葺き替えを繰り返して、かつての姿を今にとどめているんです」と話します。

写真:八勝寺

車で1分ほどの場所には、室町時代に建立された茅葺き屋根の「八勝寺」もあります。こちらも平成20年代に解体修理をおこない、16世紀後期ごろの姿に復元。「城泉寺(浄心寺)」とは趣の異なる木造阿弥陀如来像が鎮座しています。

写真:木造阿弥陀如来像

「湯前町には、城泉寺(浄心寺)・八勝寺のほかにも相良三十三観音の札所や下里御大師堂など、時代の異なる文化財が現存しています。それぞれの違いを楽しみながら巡ってもらえれば」と松村さん。「城泉寺(浄心寺)」「八勝寺」共に、通常は閉まっていますが、内部の見学希望の場合は、湯前町教育委員会までお問い合わせください。

スポット情報(2023年10月13日現在)
スポット名 城泉寺(浄心寺)・八勝寺
電話番号 0966-43-2050(湯前町教育委員会)
所在地 球磨郡湯前町瀬戸口5617
URL 人吉球磨サイト(外部リンク)

人吉の宝・温泉を多くの人に。新しい時を刻み始めた老舗銭湯

人吉温泉 堤温泉
写真:堤温泉入口

明治43年開湯と言われ、実に50カ所以上の源泉が点在する人吉温泉。かつては家にお風呂がない家庭も多く、人々の普段使いの湯として親しまれてきました。

大正元年(1912年)に創業した堤温泉は、人吉球磨が誇る球磨焼酎の老舗酒蔵「繊月酒造」が運営している銭湯。時代の変化と共に、家庭へのお風呂の普及が進んでもなお、地域の人たちの交流の場として愛されていた背景には、「入浴料200円を維持し続け、社会貢献の一貫として営業を続けていました」という繊月酒造の想いがあると、常務取締役の田中さんは話します。

写真:常務取締役の田中さん
写真:看板
写真:体重計

「創業時のレトロな佇まいも愛されていたので、そのまま営業を続けたかったのですが…、熊本地震・豪雨災害を乗り越えながらも、お客様の安全性を一番に考え、建て替えを決断。2022年12月に再オープンした建物には古材を利用したり、昔から使っている看板や体重計を飾ったりと、歴史を受け継いだ造りになっています」。

写真:内湯

内湯に加え、半露天とうたせ湯が新設された温泉内。段差も少なくし、滑りにくい床も採用するなど、利用のしやすさをプラスし、これから100年愛され続ける銭湯に生まれ変わりました。

写真:内湯

浸水しながらも源泉が無事だったこともあり、創業時と変わらず良泉が楽しめる点は、温泉ファンには朗報。「ナトリウム炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉」というW美肌の湯&温まりの湯は、湯上がりの肌をしっとりツルツルに、湯冷めしにくいぽかぽか感が持続する泉質です。

写真:内湯

再オープンを果たして9カ月。お客さんの反応は上々だと話す田中さん。「利用料金は上がりましたが、その分設備が整ったこと、回数券を購入することで少しでもお得に利用していただけるように工夫しました。観光客も増えましたが、地域の方々にも利用していただいています」。

写真:男湯、女湯の入口

「温泉は無人営業ですが、清掃は繊月酒造で働く全社員、交代で行なっています。自ら温泉を利用している社員は、利用者と運営者の両方を経験することでさまざまな改善点に目がいくなど、『チーム堤』の結束力を高めるためにも欠かせない存在です」。

地域の人々、観光客、そして社員にも愛されている温泉。泉質の良さに加え、行き交う人々の想いにも浸って、心も体もポカポカ気分を楽しめる銭湯です。

スポット情報(2023年10月13日現在)
スポット名 人吉温泉 堤温泉
電話番号 0966-22-3207(繊月酒造)
所在地 人吉市土手町40
営業時間 5:00~23:00(8:00~10:00は清掃)
料金 大人(12歳以上)400円、中人(6歳以上12歳未満)150円、
大人入浴回数券(10枚つづり)3,500円

今村ゆきこ

熊本生まれ、熊本育ち。地元タウン誌「タンクマ・モコス」を経て独立。熊本愛強めのライター&エディター。熊本第一号の温泉ソムリエ&温泉ソムリエアンバサダーとして「くまもっと湯美人」を監修するなど、温泉愛もかなり強め。コロナ禍でソロキャンプの魅力に気づき、休日には愛犬と「温泉+キャンプ」を楽しむ日々を送る。

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