柑橘大国、熊本!地域の名物生産者と柑橘が買えるスポット

年間通してさまざまな柑橘が食べられる熊本は、言わずと知れた柑橘大国です。柑橘の品種一つひとつの旬は短いですが、その分生産者さんがてしおにかけて育てた多彩な柑橘に出会えます。生食で朝のヘルシーな朝食やおやつに、アレンジしてスイーツに。自慢の柑橘を育てる生産者さんと、旬の柑橘に出会えるスポットをご紹介します。
- 髙橋果樹園 (MIKAN STATION、道の駅 うき さんさんうきっこ)
- 吉村果樹園 (道の駅 不知火)
- 本田初夫さん(道の駅 七城メロンドーム)
名物の詰め放題がお目見え! 親子2世代で育む自慢の柑橘
髙橋果樹園 髙橋さん(MIKAN STATION、道の駅 さんさんうきっこ)


熊本市内から車で約1時間。国道266号線沿いの海沿いの景色の中を天草方面へ向かって走っていると、右手に「MIKAN STATION」の文字が書かれた不知火の形のモニュメントが現れます。パール柑、不知火、みかん、3種類の柑橘のキャラクターが描かれた建物には、お目当ての柑橘を求めてお客さんがひっきりなしに訪れてました。


創業60年の「髙橋果樹園」は、三角エリアを中心に親子で営む柑橘農家。2代目の髙橋一隆さんを筆頭に、次男の拓也さんと三男の智也さんが主に畑で柑橘を育て、長男の祐也さんと愛犬のデイジーは販売を担当するなど、それぞれの持ち場で仕事に取り組んでいます。
「デイジーに会いにきてくれるお客さんもいるんですよ」と気さくに話してくれたのは、長男の祐也さん。人懐っこく穏やかな性格のデイジーは、みんなの人気者です。

元々使っていた倉庫を昨年、改装したという髙橋果樹園の直売所「MIKAN STATION」。店頭では名物・みかんの詰め放題から、高級柑橘不知火(しらぬい)まで自慢の味が並んでいます。「これ食べてみて!」と祐也さんが手渡してくれた不知火。ふわりと薄皮を纏った不知火の実からあふれる果汁はまるで食べるジュースのよう! 上品な甘さと程よい酸味が口の中に広がる逸品です。

店頭の試食用のみかんも想像以上の美味しさです。価格は、みかんの詰め放題500円。店頭で販売するみかんは1袋500円。光センサーによる糖度測定を行った不知火は、糖度別に価格帯が異なり1個100円〜1500円。「ここでしか味わえないかも」という、そのまま食べても美味しいグラントレモンは3〜6個入り(500g)300円。いずれもリーズナブルでお得感満載です。
2代目の心意気を感じる とっておきの不知火畑へ。

兄弟の中で一番農業のキャリアが長い三男の智也さんが案内してくれたのは、主力商品である不知火の畑。「髙橋果樹園」では露地栽培もハウスでの加温栽培も行っていますが、中でもこちらは2代目が手塩にかけて育てている極上の不知火がたわわに実っていました。1つ1つが大きく、重量感のある不知火の実。その枝の1本1本を支えるように枝の間を走る何本もの紐。そこに2代目の気合いと不知火に対する深い愛情を感じます。

「地面には雑草が広がっているようにみえますが、枝が広がる部分までは根っこも伸びていると言われているので、この範囲はなるべく除草剤を使わないようにしているんですよ」と話す智也さん。
おいしいデコポンの見極め方は?と聞くと、「うちで販売する不知火は、すべて光センサーによる糖度検査をしたものなので、みなさん好みのものを選んでくださっていますが、見た目で言うなら表面がゴツゴツしたものの方が、味はいいと僕は感じます」とのこと。

今後は「MIKAN STATION」でみかんの加工品を提供し、柑橘の楽しみを広めていく予定だとか。「これからも対面でのお客さんとのふれあいを大事にしながら、みんなでわいわい楽しく農業を続けられたらいいですね」という智也さん。一家が愛情いっぱいに育てた「髙橋果樹園」の商品は、「道の駅 うき サンサンうきっ子 宇城彩館」でも購入できますよ。
スポット名 | 髙橋果樹園直売所「MIKAN STATION」 |
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住所 | 宇城市三角町里浦2161−1 |
電話番号 | 090−9585−1188 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
休み | 不定 |
スポット名 | 道の駅 うき サンサンうきっ子 宇城彩館 |
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住所 | 宇城市松橋町久具757−3 |
電話番号 | 0964−34−0377 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
休み | なし |
糖度・酸味・見た目、3拍子揃った 柑橘を育む、仲良し兄弟の心意気
吉村果樹園 吉村さん(道の駅 不知火)

熊本県のほぼ中央部に位置する宇城市不知火町。おだやかな八代海に面したこの地域で、親子2世代で柑橘栽培に取り組むのは、「吉村果樹園」の吉村博陽(よしむらひろあき)さん、長男の翔陽(しょうよう)さん、次男の尚貴(なおき)さん親子です。

味に定評のある「吉村果樹園」の柑橘が買えるのは、「道の駅不知火」のみ。店頭に並ぶとすぐに売れてしまうという人気の柑橘を育てる秘訣を伺いました。


「吉村果樹園」は、博陽さんの父の代から熊本市西区の河内エリアで柑橘栽培をはじめ、不知火の地でも60年ほど続く農家です。約6.5ヘクタールの敷地では、デコポン、約10品種のみかん、河内晩柑、スイートスプリングなど、多彩な品種を育てています。

ちなみにデコポンとは、糖度13度以上をマークする「不知火」のこと。「デコポン」の名称は、熊本県果実農業協同組合連合会(JA熊本果実連)の登録商標です。


「こだわりは味と見た目を両立させた、生食で食べて美味しいと思える味を提供すること。日本一の柑橘を目指します」と言い切る翔陽さん。柑橘の味の決め手は、糖度と酸味のバランス。その持ち味を育てる過程で調整し、最大限に引き出した状態で出荷までもっていくのが吉村さん一家の柑橘が愛される理由です。

ハウス栽培の柑橘に関しては、1本1本の樹の個性を把握しながら、品種ごとに肥料も使い分けていくという細やかな作業をしているのだとか。他にも直射日光で表面が日焼けしそうな位置にある実は、1つ1つテープで保護し、光の量を調整するなど、肥料や剪定、病害虫の駆除などどの段階でも、細やかな創意工夫を施しています。

「どんな風にどれくらい手をかけるかは、それぞれの農家の裁量次第です。手を抜かなければ、結果はついてくる。畑へのこだわりは各農家でまったく違っていて、ちゃんと結果につながります」と翔陽さんは農業のやりがいを語ります。

「僕は一度外で働いてみた経験を通じて、改めて農業の可能性を感じました。今の畑づくりの姿勢を維持しながら、将来的にうちの味をもっと広めるためにどんな風に展開しようか。常にそんなことを考えながら作業をしています」と尚貴さんも続けます。祖父の代から受け継いできた知識や技術を生かしながら、兄弟で上を目指していきたいと語ってくれたおふたり。

「努力すれば美味しいものができるし、お客さんから“世界一のみかんです!”とお手紙やハガキをもらうことがあるんです。そういう瞬間は、やっぱり嬉しいですね」。師匠である父の背中を追いかけながら、自分たちらしい道を歩むパワフルな兄弟。不知火の恵まれた自然の中で、柑橘農家の明るい未来を描いています。

不知火町は、デコポン発祥の地。糖度が高く、食味、香りに優れ、果皮を剥きやすいデコポンは、街の自慢です。
スポット名 | 道の駅 不知火 |
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住所 | 宇城市不知火町永尾1910−1 |
電話番号 | 0964−42−3730 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
休み | 年末年始(12月31日〜1月4日) |
年間通して30種の柑橘を出荷! 「風土を生かした理想の農業を」
本田初夫さん(道の駅 七城メロンドーム)

熊本県宇城市から玉名市まで続く海沿い一帯は、県内有数の柑橘の産地です。さらなる柑橘を求めて車を走らせたのは、山鹿市から阿蘇方面へと向かう国道325号沿いに建つ道の駅「七城メロンドーム」。3つ並んだメロン型の屋根が目印で、館内には地元の農産物がずらりと並んでいます。

「柑橘を美味しくするのは、日差しがたっぷり降り注ぐ段々畑、海から吹き上げるミネラルたっぷりの潮風、そしてこの地域が持って生まれた土壌ですね。静岡と熊本の土壌は似ていると聞いたことがあります」と話してくれたのは、玉名市天水町と熊本市西区河内町の一帯で柑橘農家の4代目を担う本田初夫(ほんだはつお)さんです。


この日の売り場には、本田さんの手がけたレモン、紅ばえ、みはや、スイートスプリングの4種が並んでいました。
「自分で育てた柑橘を、自分で価格をつけて売る。そういう自由なところにやりがいを感じますね」という本田さんは、この道50年のベテランです。農家の長男として生まれ、当初は農家を継ぐことに抵抗があったいう本田さんですが、就農する中で少しずつ自分なりの楽しみ方を見出してきたと言います。

研究熱心な本田さんの理想の農業の形は、土地の力を活かすこと。そして、年間通じてずっと出荷できる生産物があること。露地栽培では柑橘一つ一つの旬は2〜3週間と案外短いもの。そのため、さまざまな種類の柑橘を育て、絶えず出荷できるものがある状態にしておくことで、安定経営が叶うと言います。

さらに本田さんの栽培スタイルで面白いのは、すでに独立してしまった3人の娘さんたちの代わりに、2〜3年前から学生時代の同級生たちがお手伝い隊として本田さんの柑橘畑に集うようになったこと。多品種を手がける賑やかな畑と同様に、思いがけず同窓会のような日々を過ごしていると言います。
「袋詰めが得意な人、作業が好きな人、それぞれの得意分野で活動してもらっています。少しずつ農地を縮小してきましたが、こんなに人手があるのなら問題なかったね」と笑います。

「夏は家族みんなで畑で流しそうめんをしたり、これからの季節はみんなで焼き芋をします。紅葉でも眺めながらですね」と笑顔をみせる本田さんは、畑を作る喜びも自然の中で過ごす楽しみも知る人です。そんな人柄に人が集うのでしょう。本田さんの柑橘は「道の駅七城メロンドーム」や「道の駅 旭志」、「道の駅七城メロンドーム」のアンテナショップがある「サンリブシティくまなん」「サンリブしみず」でも購入できます。四季を刻む旬の柑橘を食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

スポット名 | 道の駅 七城メロンドーム |
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住所 | 菊池市七城町岡田306 |
電話番号 | 0968−25−5757 |
営業時間 | 9:00〜18:00 |
休み | 年始(1月1日〜3日) |

中城明日香
大分県生まれ、熊本市在住の編集者・ライター。
地域の出版社・編集プロダクションを経て、独立。
自然、暮らし、農業、教育、観光、ファッション、アートなど、“毎瞬”を楽しむ姿勢で幅広いジャンルの記事を手がける。仕事もプライベートも書くことが生業。