モチっとジューシー! 熊本のソウルフード「南関あげ」の魅力
モチっとした食感と、揚げせんべいのような見た目の油揚げ「南関あげ」。県北部、福岡県との県境にある玉名郡南関町が特産の伝統食材です。ここ数年は、南関あげを使った“いなり”がメディアで紹介され、全国的に知られるようになってきました。今回はその魅力を深掘り。製造工程とともに、熊本限定で“南関あげいなり”を提供するお店を紹介します。
南関あげとは?
県内のスーパーで気軽に購入できる、熊本のソウルフード「南関あげ」。その歴史は古く、所説ありますが、江戸時代に伊予松山(現在の愛媛県)から伝わったとされています。
南関あげの最大の特徴は日持ちの長さ。一般的な油あげの賞味期限は3~4日ですが、南関あげは水分を極限まで減らして揚げるので、常温で約3ヶ月の長期保存が可能です。さらに、出汁や煮汁をぐんぐんと吸い込み、水分を含むと、驚くほどふっくらジューシーな食感に。肉や魚に負けない、料理の主役級のポテンシャルを持った食材なのです。
南関あげができるまで ~塩山食品の工場に潜入~
現在、南関町周辺で製造されている“南関あげ”ですが、「どうしてあんなに薄くできるの?」「モチモチの訳は?」など、その製造工程には疑問がいっぱい!
そこで、南関あげのシェア9割以上を誇る地元の老舗企業「塩山食品」の工場に潜入。美味しさの秘密を探ってきました。
生地からすべて手作りにこだわる同社。製品になるまでには、いくつもの作業が必要になります。
(左)南関あげのベースとなる大豆。美味しさを一定に保つため、2~3種類の大豆を独自配合でブレンドし、一晩(約15時間)水に漬けたものを使用。この大豆から豆乳を作り、そこから木綿豆腐のような固い豆腐を製造していきます
ここからは驚きの連続!
冷却した豆腐を約6mmの薄さにスライス。この豆腐を手作業で1枚1枚布の上に並べ、約1トンという圧をかけ、水分を極限まで抜いていきます
約1時間プレスされた豆腐がコチラ。水分が抜けて、3mm程の薄さになっています。こんな豆腐、見たことありません(笑)
この工程があるからこそ、南関あげ特有のモチモチ感が生み出され、長期保存も可能になるそうです
そしていよいよ揚げに突入。
プレスした豆腐を一枚一枚、手作業で揚げていきます。その数、年間約450万枚! 労力を要する作業です。塩山社長に聞くと、豆腐の生地や大きさにバラつきがあるため、目で見て、状態を確認しながら揚げるのがベストなんだそう。
揚げ油はヘルシーなキャノーラ油を使用。120度の低温で約1分、160度の高温で約5分ほど揚げていくと、約4倍の大きさに広がります
パリッとして、いい感じに揚がってますね。
揚げたては水分がほぼ0の状態だそう。ここから1晩寝かせ、水分を2~3%まで上昇させていきます
大きさを揃えたり、小さいサイズにカットするのも、すべて手作業。包丁を使って、一枚一枚、リズミカルに形が整えられていきます。
ちなみに、自宅で南関あげをカットする際も、写真のように立てて切ると崩れずにカットできるそう。ぜひトライしてみてくださいね。
完成品がコチラ。
塩山食品では、写真の大判(3枚入り/約22㎝×22cm)、小判(3枚入り/11cm×11cm)タイプのほか、すぐに使えるきざみタイプなど、様々な種類の南関あげが製造されています。ネットショップや同社が運営する物産館「なんかん いきき村」では、お徳用サイズや贈答品なども入手可能。通常サイズは熊本県内のスーパーや阿蘇くまもと空港でも販売されています。
スポット名 | 塩山食品株式会社 |
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住所 | 玉名郡南関町小原32-2 |
電話番号 | 0968-53-0154 ※受付/平日8:00~17:00 |
関連リンク | 塩山食品株式会社(外部リンク) |
熊本で食べよう! 南関あげのいなり寿司
煮込み料理やお味噌汁など色々な料理に使える「南関あげ」ですが、おすすめは出汁をたっぷり吸い込んだ“いなり”。すし飯を南関あげで巻いて仕上げるいうスタイルで手軽に頂けます。
ここでは、南関あげを使ったいなりをテイクアウトできるお店をピックアップ。熊本限定なので、ぜひ現地で味わってみて。
平家屋 阿蘇くまもと空港店(保安検査通過後 旅客ターミナルビル3F)
にしめ万十や辛子蓮根など、熊本のおふくろの味を提供する老舗惣菜屋「平家屋」。同店が“熊本各地を旅したような気分を味わってほしい”と、阿蘇くまもと空港限定で販売しているのが、南関あげを使った「熊本旅いなり」です。
保安検査後のエリアに店舗があるので、お目当てのいなりを購入したら、出発までの時間を気にせずに空港内でゆっくり味わえるのもメリット。フォルムも素敵で、お土産用にも持ち帰る人も多いそうです。
ショーケースの中に美しくディスプレイされた「熊本旅いなり(1箱1620円、税込)」。一つひとつ店舗での手作りのため、数量限定での販売
木箱を開けると、中には6種類のいなりが! 上品に整列していてテンションが上がること間違いなし。
左からあか牛(阿蘇エリア)、柚子胡椒(八代エリア)、梅、五目(ともに熊本エリア)、ちりめん(芦北エリア)、南関あげ。熊本各地の味が一度に楽しめるようになっていて、ネーミング通り、食べながら熊本が満喫できます
(左)味の決め手となるのは、熊本ならではの“赤酒”が入った平家屋オリジナルの醤油。これで南関あげを煮付けることで、上品な甘さに仕上がり、もっちりとした食感もさらに際立ちます
(右)機内でも食べやすい横長サイズなので、空弁にもオススメ。中には具材がたっぷり混ぜ込まれています
スポット名 | 平家屋 阿蘇くまもと空港店 |
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住所 | 上益城郡益城町大字小谷1802-2 (保安検査通過後 旅客ターミナルビル3F) |
電話番号 | 070-8436-9130 |
時間 | 8:00~20:00 |
休み | 無休 |
関連リンク | 平家屋のホームページはこちら(外部リンク) |
稲穂 いなり屋
熊本県庁から車で約10分ほどの場所にある「稲穂 いなり屋」。南関あげ&特製の出汁を活かしたジューシーな“生いなり”が好評で、地元の人はもちろん、県外からのお客さんも多いテイクアウト専門店です。目印はキツネのイラストが描かれた、この暖簾。店舗前には駐車場も完備されています。
お店で手作りされる“生いなり”は、小ぶりで食べやすいサイズ。口に入れた瞬間、上品な出汁がジュワーっと溢れ出します。モチモチ食感の南関あげとの相性も抜群で、とにかく出汁が美味しいと感じます。
実はこの生いなり、系列の「寿し処 稲穂」で20年以上愛されている人気メニュー。出汁には、系列の茶碗蒸し専門店の特製出汁が惜しげもなく使われ、丁寧に油抜きした南関あげにたっぷり染み込んでいるのです。何とも贅沢!
生いなりは1個から購入OK(プレーン/1個120円)。小腹が空いた時のおやつ代わりにもピッタリ。
写真は「お土産用いなり寿司 11個入り」(1620円)。
定番のプレーンのほか、熊本・人吉産の柚子こしょう、紀州梅、山椒の実、きざみ山葵、金胡麻、かんぴょう入りも販売(1個130円~140円)。
デリケートな商品なので、購入できるのは店頭のみ。熊本を訪れた際には、ぜひ立ち寄りたい一軒です。※料金は税込
スポット名 | 稲穂 いなり屋 |
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住所 | 熊本市中央区保田窪1-6-15 |
電話番号 | 096-387-0305 |
時間 | 平日10:00~15:30、土・日曜10:00~18:00 ※売り切れ次第、営業終了 |
休み | 月曜、祝日 |
駐車場 | 2台 |
関連リンク | 稲穂 いなり屋のホームページはこちら(外部リンク) |
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