観光案内所スタッフに聞く!下田温泉の魅力、深発見!

「沸かさず、薄めず、循環せず」を温泉地のルールとし、私たちに源泉そのままの温泉を楽しませてくれる下田温泉。温泉の泉質はもちろん、温泉のルーツにまつわる謎があるなど、知れば知るほど面白い温泉地です。今回は、下田温泉の観光案内所スタッフ・田中マキさんに下田温泉の魅力や楽しみ方を教えていただきました。
- 下田温泉
- 下田の夕陽
- あまくさロマンティックファンタジー2024
温泉の熱源は天草陶石? 地下は謎だらけ⁉︎
下田温泉

下田温泉は、天草市天草下田地区に約800年前から湧き続ける温泉で、白鷺が傷を癒していたことから別名「白鷺温泉」として地域に愛されている温泉地です。下田温泉を訪れたら、まず立ち寄りたいのが、温泉街の中心に位置する「下田温泉ふれあい館ぷらっと」。観光案内所があり、温泉地のことや周辺の観光情報などを知ることが出来ます。

今回、お話を伺ったのは、「下田温泉ふれあい館ぷらっと」の田中マキさん。「下田温泉旅館組合」をはじめ、「下田地区振興会」などに所属し、下田温泉のムードメーカー的存在です。
「下田温泉は昭和38年に『国民保養温泉地』に登録されています。湯治などの利用が多かったことからも、温泉利用の効果が十分期待できる温泉としても自慢ですね」(田中さん)。

下田温泉の湯は地下250メートルから湧出し、源泉温度51.3℃、pH7.84の弱アルカリ性、泉質は「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉」です。これは、肌のターンオーバーを促す美肌作用や血行の促進、冷え性改善、さらに塩パックのような作用から保湿も期待できると言われています。
その温泉を加水・加温せず、源泉そのままの湯につかることができるのは温泉ツウでなくても嬉しいはず。田中さん自身、働き始めるまで「温泉とお風呂の湯、そんなに違いはないだろう」と思っていたところ、下田温泉の湯に入ってビックリしたそうです。「それ以降、入るのはここの温泉ばかり。湯冷めのしにくさや、切り傷などの治りや肌のしっとり感など、違いますよ」と話します。

「さらに、下田温泉はその成り立ちが謎と言われていて、いまだに解明できていないんです。温泉の熱源は、一般的には、火山地帯にあるマグマなどの火山性温泉が知られていますが、下田温泉は非火山性温泉と言われ、天草陶石と同じ層から湧いているそうです。一説によるとその地層の摩擦熱によって温められたとも言われていますが、地下を見に行く事はできないので、いまだに謎のままです。
さらに、深い地層からの高温の温泉と、浅い地層からの温度の低い地下水や地表水が混ざりあったもので、本来であれば温泉水は地表まで上昇する際、温度が低下するのですが、1日1,500〜2,000トン湧出する下田温泉の湯は、約50℃を保てるだけの湯量に恵まれた温泉地と考えられています」(田中さん)。
下田温泉をゆるりと、源泉巡り
「下田温泉の源泉は3つあり、天草灘に続く下津深江川に沿って湧いています。その源泉を1箇所に集めて集中管理し、13件の温泉宿や日帰り入浴施設、そしてデイケアセンターでシェアしています。温泉地は歩いて回れるほどの小さな地域なので、ゆっくり散策しながら源泉巡りをお楽しみください」と田中さん。


「下田温泉ふれあい館ぷらっと」に車を停め、源泉巡りを楽しみます。まずは、「川沿いに旅館が立ち並ぶ温泉街らしい景色が好き」と田中さんがすすめてくれた「湯の元橋」を渡り、一つ目の源泉へ。

「源泉などの看板はないのですが、ここの温泉は湯量が余ると川に出されるんですよ」。
田中さんの言葉通り、橋の下を覗いてみると…。

確かに源泉と思われるお湯が出ている箇所を発見。その周辺の色が変わっていることから、温泉の成分が付着していることが分かります。

温泉好きとしては、この源泉を堪能したいのですが、この時は潮が満ちていて手が届きませんでした。海に近い川のため、干満によって水位が変わるということで、時間を置いて再訪。

今度は、残念ながら捨て湯は止まっていて触ることが出来ませんでした。「干潮」と「湯量が余る」という2つが重なった時に出会えるようです。出会えたらラッキー!ぜひ訪れてみてください。

さらに散策を続け、「下田温泉神社」へ。この境内の裏にも源泉があります。800年も湧き続ける温泉への感謝の気持ちを込めてお参りし、次の目的地へ向かいます。

「伊賀屋旅館」と商店のある交差点を、川とは反対の住宅街の方へ進むと、源泉を集中管理しているタンクを発見! 源泉から湧出した温泉は、一度このタンクに集められ、14件の施設に供給されているということです。
「昔は、それぞれの施設で源泉を掘っていたんですが、枯渇などのリスクもあり、30年ほど前から組合で管理することになったんです」(田中さん)。

源泉巡りのゴールは、無料で利用できる足湯「下田温泉五足の湯」へ。

足湯のある「温泉広場」に3つ目の源泉があります。

足湯は10時〜20時まで利用でき、源泉がドバドバとかけ流しされているため湯口付近は温度が高く、「あちち!」となる場合も。好みの湯温の場所でまったり楽しみましょう。

現在、各旅館での日帰り入浴の受付は休止中ということ。日帰り入浴ができる施設は「白鷺館」のみです。

2025年1月31日まで実施中のE-バイクのレンタサイクルもあるので、温泉街や海岸沿いのサイクリングも楽しめます。「下田温泉ふれあい館ぷらっと」にお問い合わせください。
スポット名 | 下田温泉ふれあい館ぷらっと |
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住所 | 天草市天草町下田北1310-3 |
電話番号 | 0969-27-3726 |
営業時間 | 9:00〜17:00 |
休み | 不定休 |
駐車場 | 5台 |
関連リンク | 下田温泉旅館組合のホームページはこちら(外部リンク) |
★下田温泉と一緒に楽しみたいおすすめスポット!
温泉だけで帰るのはもったいない!下田温泉と一緒に楽しみたい絶景やイベントをご紹介します。
見るたびに姿を変える夕日に感動!
下田の夕陽(夕陽ヶ丘)

「下田温泉を訪れたら、西海岸の絶景は外せません。広い海と、東シナ海ならではの独特の地形はもちろん、『日本夕陽百選』に選ばれた下田の夕陽も楽しめますよ」と田中さん。

「下田温泉ふれあい館ぷらっと」から7分ほど歩くと、「天草夕陽八景」の一つ、「下田の夕陽(夕陽ヶ丘)」にたどり着きます。季節によって沈む方角が変わるため、水平線に消える夕日や岩岩の背後に落ちる夕日など、その姿もさまざま。

写真のように岩の隙間に沈む時などもあるようで、訪れるたびに表情を変える絶景は、必見です。
スポット名 | 下田の夕陽(夕陽ヶ丘) |
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住所 | 天草市天草町下田北 |
駐車場 | あり |
足湯と楽しめる、冬の風物詩・イルミネーション
あまくさロマンティックファンタジー2024

天草の8会場がイルミネーションに灯される冬の風物詩として知られる『あまくさロマンティックファンタジー』が今年も開催中です。
「下田会場は、足湯と温泉広場がイルミネーションで彩られますよ。1月5日(日)まで開催されているので、ぜひ足湯につかりながら今だけの雰囲気をご堪能ください」(田中さん)。


このイベントは地域の人たちが企画・運営をしており、「アイデア勝負でがんばっています」と話されていました。


足湯の東屋の天井を彩るのは、100個ほどのベトナムランタン!昼間でも感動しますが、夜はさらに幻想的な雰囲気に。

イルミネーション点灯時間は17時〜22時です。

今年はさらにパワーアップし、広場に竹とうろうも灯されるということです。
温泉だけじゃない下田温泉。知れば知るほど奥深い歴史と温泉の謎、そして、その時々で姿を変える絶景との出会いをお楽しみください。
スポット名 | 下田温泉五足の湯 |
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住所 | 天草市天草町下田北1310(下田温泉ふれあい館ぷらっと前) |
営業時間 | 入浴時間/9:00〜20:00(イルミネーション期間中は22:00まで) |

今村ゆきこ
熊本生まれ、熊本育ち。地元タウン誌「タンクマ・モコス」を経て独立。熊本愛強めのライター&エディター。熊本第一号の温泉ソムリエ&温泉ソムリエアンバサダーとして「くまもっと湯美人」を監修するなど、温泉愛もかなり強め。コロナ禍でソロキャンプの魅力に気づき、休日には愛犬と「温泉+キャンプ」を楽しむ日々を送る。
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