ふるさと寺子屋講師をお招きしてテーマに沿って語っていただく昔語り

No.111 ふるさと・熊本の魅力を再発見 「 清和文楽と石橋紀行 」

案内・解説/くまもとの旅編集長  末吉 駿一 氏

11月のふるさと寺子屋塾は教室から出て、現地での課外授業を行いました。緑川流域に点在する数々の石橋を実際にたずね、また、11月1日からスタートした今年(平成14年度)の「くまもと冬の旅キャンペーン」の目玉「清和文楽と石橋紀行」(通潤橋の夜間ライトアップと放水、清和文楽の特別公演)を鑑賞しました。


会場の通潤橋までの石橋探訪はくまもとの旅編集長・末吉駿一が案内・解説をしました。


石橋、文楽、紅葉・・・熊本の"本物"を満喫した一日でした。


清和文楽「通潤橋の前で清和文楽観賞」というシチュエーションは冬の旅キャンペーンならでは。「5、4、3、2、1」のカウントダウンの声と同時に、通潤橋から勢い良く放水が始まり、大きな歓声があがる。宵闇の中、幻想的なライトアップが行われ、十三夜の月を背景にいつもとは違った通潤橋が姿を現す。

特別にしつらえられた桟敷で「お芝居弁当」に舌鼓を打ったあと、いよいよ清和文楽がスタート。太夫の語りにのせ、まるで生きているかのような人形の動きに場内満員の会場はシーン。150年もの間、村人の手で守り継がれてきた伝統芸能に触れ、得がたいひとときを過ごしました。


外題は「壷坂霊験記」。お里、沢市の夫婦愛は感動的で、語りと人形にたくさんの拍手が送られました。人形を操るのは清和村で現役で農業を営む方々です。


「石橋紀行」


熊本は石橋の宝庫です。中でも緑川流域には約90の石橋があちらこちらに点在しています。なぜここには多くの石橋があるのでしょう。それは・川(緑川)があり、深い峡谷があった・「肥後の石工集団」と呼ばれた技術集団がいた・加工しやすい阿蘇の凝灰岩があった・そして地域の人が結団して石橋を架ける努力をしたことなどがあげられます。一世紀以上を経て、なお私たちの目の前に姿を見せ、さらにいまだ"現役"で人や水を運んでいる石橋に、先哲の知恵と技の力を実感せずにはいられません。


通潤橋(上益城郡矢部町)


通潤橋熊本を代表する石橋で、豪快な放水で知られます。橋の上には通水管が通され、その中を水が通るような仕組みになっていて、今も矢部郷の田畑を潤しています。今回特別に夜間ライトアップが行われ、皆さんの目を楽しませてくれました。



二俣橋(下益城郡中央町)


二俣橋長さ、形、石積みともほぼ同じという珍しい双子の橋。津留川、釈迦院川という二つの川の合流点にL字型に架かっています。



霊台橋(下益城郡砥用町)


霊台橋日本最大の単一アーチ橋。その大きさと精緻な石積みは間近で見ると圧巻です。全長90mの大規模なこの石橋はわずか一年間で造られました。その背景には石工の技術はもちろんですが、近在の住民が力を合わせて石橋づくりに力を尽くしたものです。



鮎の瀬大橋(上益城郡矢部町)


鮎の瀬大橋深い緑川渓谷をひとまたぎする現代の橋。高さ140m、長さ390mの規模は圧巻です。



円形分水(上益城郡矢部町)


円形分水矢部町にある石造りの分水器です。農業用水を分けるために造られたもので、「円形の器」が灌漑面積に応じた角度で仕切られているので予定通りの水を流すことができます。



参加者の感想・・・


■ ずっと見たいと思っていた清和文楽。主人公の二人が舞台に出てきたときは思わず目頭が熱くなりました。桟敷席で間近に観賞できて本当に良かったです。(田中さん)

■ 天気に恵まれ、しっかり石橋を堪能することができました。橋あり、文楽あり、紅葉ありの幸せな一日でした。(平井さん)

■ 解説があったのが良かった。全てを覚えていることはできないけど、私は一度訪れた場所は再度訪ねるようにしていて、その時にやはりその時の解説などを思い出すのが不思議です。またこのような企画があれば参加したいです。(徳永さん)

■ 海外旅行から帰ってきたばかりですが、今日の旅であらためて、日本って素晴らしい、熊本って素晴らしいと感じました。